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白銀の青森山田からアビスパ加入。
大型CB三國ケネディエブスの6年間。
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph byAFLO
posted2019/01/23 11:30
日本で身長190cm台のセンターバックは希少な存在だ。三國ケネディエブスはその恵まれた体格を生かしてJリーグの舞台に挑む。
冬のきつさに鍛えられた。
「青森山田に来て中学、高校の6年間、この選手権のために懸けてきました。兄貴に続きたかった。(優勝の瞬間は)さすがに感極まりました」
1月14日の全国高校サッカー選手権決勝の流通経済大柏戦、3-1の勝利を収めて全国の頂点に立った瞬間、三國をはじめ青森山田の選手たちは力が抜けたようにピッチに倒れ込んだ。歓喜する余力も残っていないほど、すべての力を出し切った。
「精神面、メンタル的なところは、冬の間、本当にすごくきつくて、そこは鍛えられたところでした」
そして黒田監督は試合後の記者会見で胸を張って言った。
「青森は雪国ではありますけれど、アジアカップを戦っている室屋(成)や柴崎(岳)といった選手も(青森山田から)出てきています。むしろ、苦しい思いをして雪の溶けた春先にボールを蹴れる日を待ち望み、そういう数カ月間を過ごすことも、指導の中ではすごく重要だと思っています。
青森はあまりサッカーの浸透していない土地ではありますけれど、しかし、雪国はサッカーの育成において最高の条件だと、この大会に出ることで発信していきたい。3年で2度優勝できたことで、それを少しは伝えられたのではないでしょうか」
セルヒオ・ラモスみたいに。
青森山田の“代表”としても世界を切り拓いている先輩たちに、三國は続くことができるか。
卒業後はJ2リーグのアビスパ福岡で戦う。ちなみに九州の福岡を選んだのと雪がないこととは、全く関係ないということだ。
「CBを始めてまだ間もなく、足元のところや俊敏な相手に対するところはまだ課題です。スタメン争いに揉まれながら切磋琢磨して、ポジションを掴み取りたい。目指しているのは、1人で守れて、1人で点を取れる選手。コーナーキックやセットプレーでは頼りになる、レアル・マドリーのセルヒオ・ラモス選手のような存在になりたいです」
三國はそう意欲を示す。