プロ野球PRESSBACK NUMBER
藪恵壹が占う、阪神の2019年。
「守って優勝した歴史はない」
posted2019/01/19 17:30
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph by
Kyodo News
もうすぐプロ野球の「元旦」とも言えるキャンプインです。ここまでオフシーズンの主役は巨人でしょうか。
リーグMVPの丸佳浩、経験豊富な捕手・炭谷銀仁朗、メジャー経験のある岩隈久志、そして中島裕之を獲得し、それらの代償として内海哲也、長野久義を放出することになりました。
その激しい動きの裏でタイガースはひっそりと、オリックスからFA宣言した西勇輝を、昨シーズン中日で13勝を挙げた左腕ガルシアを、さらにメジャー経験のあるリリーフ右腕ピアース・ジョンソンを獲得しました。
オフの動きというのは、そのチームの方向性をよく表しています。この名前を見れば、矢野燿大新監督がどういう野球をやろうとしているかは想像できます。
甲子園にマッチした守りの野球。
あの広い甲子園にマッチした「守りの野球」です。金本知憲前監督は、生え抜きのクリーンアップを育て上げ、打ち勝つことに力を注いでいましたが、ひょっとしたら矢野監督は、もう少し効率のいい野球をやろうとしているのかもしれません。そこにタイガースの変化というものが現れてくるのではないでしょうか。
確かに先発陣はメッセンジャー、藤浪晋太郎、岩貞祐太、秋山拓巳、小野泰己、才木浩人、高橋遥人というところに、実績のある西、ガルシアが加わるわけですから、リーグトップクラスの陣容になるでしょう。
そして、矢野監督が自ら希望し、ドラフト1位で獲得した俊足の外野手・近本光司をおそらくセンターで起用する構想でしょうから、足を絡めて奪った得点を、鉄壁の投手陣を中心に守り抜くという、名捕手だった矢野監督らしい戦い方になるのでは、と思っています。最もホームランの出にくい球場である甲子園にもうってつけなのかもしれません。