プレミアリーグの時間BACK NUMBER
無冠のポチェッティーノとサッリ。
カップ決勝進出へ執念の差が明確?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2019/01/12 11:30
プレミアを代表する名将のポチェッティーノと、今季からチェルシーの監督に就任したサッリ。どちらのクラブが決勝に進むか。
両チームが直面する過密日程。
ただ、そこには厳しい過密日程が待ち受けている。リーグカップ初戦はFAカップ3回戦から、トッテナムが中3日、チェルシーは中2日での開催だった。それぞれチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグにも参戦しているため、12月8日のリーグ戦から数えて10試合目での大一番でもあった。そして今後も1月末までにFAカップ4回戦を含む5試合が控えている。
同じ4強には、バートン(3部)との第1レグに9得点で大勝したマンチェスター・シティもいる。優勝歴豊富なペップ・グアルディオラ率いるチームは、選手層の厚さでもトッテナムとチェルシーをしのぐ。
マンCとプレミア首位を争っているリバプールは、FAカップでの早期敗退が不幸中の幸いとなり、残る1月の日程はリーグ戦3試合のみ。オレ・グンナー・スールシャール暫定体制下でトップ4争い復帰の希望が芽生えているマンUは、トッテナムとチェルシーが第1レグを戦っている間に、ドバイへと短期合宿に出かけていた。
トッテナムの冷静な戦略。
それでもポチェッティーノとサッリは準決勝で、勝利という結果を求めて挑むと思われた。トッテナムが先勝(1-0)を収めた第1レグでは、そのこだわりの差が勝敗を分けたと言える。
FAカップで主力を温存したポチェッティーノは、フル戦力をウェンブリー・スタジアムのピッチに送り出した。主砲のハリー・ケインも、実に約3年4カ月ぶりにリーグカップでのスタメンに名を連ねた。
いわゆるポチェッティーノのトッテナムらしい勝ち方ではなかった。決勝点はケインのゴール左下隅への見事なシュートだったが、それはビデオ判定の末に得たPKでの一発だった。
2トップの相棒ソン・フンミンは最前線で孤立気味で、クリスティアン・エリクセンのラストパスが冴えたわけではなく、堅実な貢献だった。ダイヤモンド型の中盤で頂点を務めたデル・アリにしても、得意とするボックス内侵入よりも、対峙する相手MFジョルジーニョの注視が主要任務のようだった。
ホームでチェルシーに6割近いボール支配を許したトッテナムの先勝には、「辛勝」という見方もある。だがウェンブリーのピッチで、トッテナム守備陣が慌てたわけではない。ポチェッティーノは「その気になれば相手を押し込めるクオリティがある」として、社交辞令的な返答で明言を避けたが、この戦いぶりは計算の上だったと思われる。