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成長するため、あえて立ち止まる。
巨人・菅野智之、真のエースへの道。
posted2019/01/03 11:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
毎年恒例、Number Web版“プロ野球・ゆく年くる年”企画は、全12球団の反省と期待を綴った短期集中連載シリーズです。今年もそれぞれの愛すべきチームについて、しっかりと2018年、そして2019年への思いを発表したいと思います。
第8回は、原辰徳新監督に常勝軍団復活の期待がかかる読売ジャイアンツです!
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立ち止まることを知って、前に進むことができたシーズンだったのかもしれない。
2018年の菅野智之は防御率2.14で3年連続最優秀防御率をはじめ、15勝で2年連続2度目の最多勝利、200奪三振で2年ぶり2度目の最多奪三振と投手3冠王に輝き、2度目の沢村賞も受賞した。
まさに投手としての絶頂期を迎えたシーズンだったわけだが、この輝かしい実績の裏には、最初の大きな躓きがあったことも大きかったのではないだろうか。
いきなり滅多打ちを食らったのは3月30日、阪神を相手にした東京ドームでの開幕戦だった。
この試合の菅野は阪神打線を初回こそ三者凡退に退けたが、2回には福留孝介外野手に左翼ポール直撃の本塁打を浴びると、3回にも大山悠輔内野手に2ランを被弾。結局7回を投げて12安打5失点の負け投手となった。
しかもこの躓きは次の試合でも続いた。
4月6日の神宮でのヤクルト戦だ。
乱調の理由は、強い向上心!?
初回に青木宣親外野手の二塁打で先制を許すと、味方の失策も絡んで2失点。2回には山田哲人内野手の中越三塁打で追加点を奪われると、5回にもソロ本塁打を浴びた。この試合も6回を投げて7安打5失点。2試合トータルで19安打を浴びて10失点と大荒れのスタートを切ったのである。
この信じられないような開幕直後の乱調の理由は、エースとしての向上心にあった。
前年のオフからこの年のキャンプで菅野は新球となる高速シンカーの習得に挑戦した。結果的にはそれが裏目に出たわけである。