セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
苛立つガットゥーゾが解任の危機。
副首相の“口出し”と故障者続出。
posted2018/12/26 18:45
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
政治家がサッカーに口を出すとろくなことにならない。
「なぜガットゥーゾは守備固めをしない? 監督ライセンスのない私でもそれぐらいわかるぞ」
イタリア共和国の副首相サルビーニが、ミラン指揮官の采配に横槍を入れたのは、CL出場権を争うラツィオとの直接対決で手痛いドローを喫した11月下旬のことだ。45歳のサルビーニは近年急速に支持を伸ばす右派政党「同盟」の領袖でありながら、熱心なミラニスタとしても知られている。
だが、現場を預かる指揮官ガットゥーゾは、売名と露出に熱心な副首相のちょっかいに構っていられない。
「俺は政治に口出しはしない。その手の分野は素人だからな。この国に山積みになっている問題を思えば、副首相にはサッカーではなく国政について真剣に考えていただきたい」
いち国民としてEUとの関係や増税、年金問題に対していろいろ言いたいことはあるが、親分ガットゥーゾは今、それどころではない。
ミランでの年越しが危ういのだ。
EL敗退で「怒り狂っている」。
「俺は怒り狂っている」
12月13日のオリンピアコス戦で1-3の黒星を喫し、ミランはELグループリーグ敗退という醜態を晒した。
「うちはオリンピアコスより強いはず。なのに、むざむざ相手に白星をくれてやった。これが怒らずにいられるか!」
ELからは敗退したが、クラブのシーズン目標はあくまでCL出場圏内にあたるセリエAでの4位獲得だ。
ラツィオとの鍔迫り合いが続く中、14節で4位に再浮上したミランは、EL最終節のギリシャ遠征と前後した国内リーグ戦2試合で勝点6を上乗せすることを目論んでいた。
しかし、トリノとボローニャ相手にいずれも痛恨のスコアレスドローに終わり、クラブ上層部とガットゥーゾの失望は大きかった。