猛牛のささやきBACK NUMBER
投高打低の1年だったオリックス。
西村新監督体制でブレイク候補は?
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2018/12/28 10:30
ファン感謝デーで新ユニフォームを着用した(左から)山本由伸、吉田正尚、山岡泰輔。新たなチームの顔となれるか。
田口二軍監督が語っていたこと。
田口壮二軍監督(現・一軍野手総合兼打撃コーチ)はウエスタン・リーグ最終戦のあとこう語っていた。
「(二軍で)ちょっとよくなったところで上にあげて、使ってもらって、出なくなって、入れ替える、というのがうちは多い。それだとなかなか慣れていかない。もちろん勝たなければいけないし、選手が飽和状態でしかたがないところはあるんですが……。しっかりと選手のポテンシャルや伸びしろを見て、誰を育てるかということを明確にし、その選手を徹底的に使う。そういうことをすればもっとよくなるんじゃないかと思います」
このオフは勝負強いベテランの小谷野栄一が引退し、中島宏之は巨人に移籍したが、日本人野手の補強はしていない。現有戦力とドラフトで獲得した新人を、長い目で見て鍛え、野手陣の底上げをするいいタイミングではないだろうか。
逆に投手では、今年は新戦力の活躍が目立った。前半戦は新加入のアンドリュー・アルバースやルーキーの田嶋大樹が勝ち星を重ねた。ただ、後半は2人とも怪我で戦線を離脱しチームにとっても大きな痛手となった。
山本由伸、山田修義という収穫。
中継ぎでは、高卒2年目の山本由伸が収穫だった。4月に先発から転向すると、一軍に昇格。ストレートは1年目より球威を増しており、新たに習得したカットボールで打者を翻弄して好投を続け、勝ちパターンの8回を任されるようになった。吉田一将、山本、そして日本ハムからFA移籍で加入した守護神、増井浩俊の勝利の方程式が中盤戦を支えた。
シーズン後半に光ったのは山田修義だった。怪我に苦しみ、一度は育成契約となりながら這い上がってきたプロ9年目の左腕は、今年中継ぎに転向。小松聖二軍投手コーチから教わったスライダーが武器となり、8月には月間最多登板数のプロ野球記録に並ぶ18試合に登板する大車輪の働きを見せた。
この他、3月に育成契約から支配下登録された高卒2年目の榊原翼は、シーズン終盤、3試合に先発登板。打線の援護がなく白星はつかなかったが、ダイナミックなフォームから力強いボールを投げ込み、17イニングでわずか2失点という頼もしい投球で来年に期待を持たせた。