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さらば王者。F・アロンソ、
三大レース制覇へ――新たなる出帆。
text by
今宮雅子Masako Imamiya
photograph byMamoru Atsuta (CHRONO GRAPHICS)
posted2018/12/29 17:00
2017年のインディ500参戦では一時トップを走った。歴史上グラハム・ヒルしか達成していない三大レース制覇はなるだろうか。
マシンと自分だけの世界で戦いたい――新大陸へ。
「F1を離れると、きっとF1マシンのドライビングが恋しくなると思う。膨大な技術が投入されたマシンから得られる感覚は、本当に特別なものだから」
一方で「日曜日の午後には、マシンと自分だけの世界で戦いたい」と言う。
「今日のF1では燃料の流量もマシンの重量配分もタイヤの内圧もすべて決められていて、独創的な作戦が生まれる余地はない。ドライバーはエンジニアの指示に従って走り、マシン性能の順にゴールする」
心惹かれるのは、自らの知恵と野性で切り開いていけるレース――F1を離れる決心は、生まれながらの勝負魂による。
「心に留めていくのは、37年の人生の半分を分かち合ってきた人たちだ。エンジニアもデザイナーもメカニックもメディアのみんなも――僕らはシーズン中の多くの時間を共有し、世界中を移動しながら、毎週のように、すべての分野で、それぞれが完璧を探求してきた。レース結果以上に、僕がF1で得た最高の思い出だよ」
最後のアブダビでは、フロントウィングにADIOS"さようなら"ではなくHASTA LUEGO"じゃあ、またね"と記した。離れても、フェルナンド・アロンソはF1の大切な家族。故郷を出て、新大陸の挑戦へと向かう。