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第4期マクラーレン・ホンダ時代の悪夢再び…F1開幕戦惨敗のアストンマーティン・ホンダは不調の要因“振動問題”を解決できるのか

posted2026/03/12 17:03

 
第4期マクラーレン・ホンダ時代の悪夢再び…F1開幕戦惨敗のアストンマーティン・ホンダは不調の要因“振動問題”を解決できるのか<Number Web> photograph by HONDA

アロンソは1周目で10番手に浮上するものの、その後順位を落とし、21周でリタイアした

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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「不運なことに、この会見の前、私たちがいま抱えている問題について渡辺さんと十分に話し合う機会がなかった」

 これはオーストラリアGP開幕前日にアルバートパーク・サーキットでアストンマーティンが開いた記者会見で、エイドリアン・ニューウェイ代表が語った言葉。「渡辺さん」とはホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長のこと。HRCはアストンマーティンのパートナーとして5年ぶりにF1へ復帰したホンダのパワーユニット(PU)を開発・製造している。

 ニューウェイが事前に話し合いたかったのには理由がある。開幕前のテストでアストンマーティン・ホンダは深刻な問題に直面していたからだ。その問題とは、走行中に異常振動が発生することだった。その異常振動によってバッテリーシステム系がダメージを被り、長い距離を走ることができなかった。その振動源としてやり玉に挙がったのが、ホンダのエンジン(ICE=内燃機関)だった。

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 本番前、最後のチェックの場となったバーレーンでは、テスト最終日にライバル勢がレース距離と同等の周回を重ねたり、予選を想定したタイムアタックを繰り返す中、問題を解決できないアストンマーティン・ホンダは残っていたバッテリーを使い果たし、わずか6周で切り上げるしかなかった。その悲惨さをニューウェイは会見でこう明かした。

「フェルナンド(・アロンソ)は、連続して25周以上走れば手に永久的な神経損傷を負うリスクがあると感じている。(チームメートの)ランス(・ストロール)の場合、それは15周だった」

 テスト後、ホンダは開幕に向けてさまざまな対策を講じたが、テスト最終日からオーストラリアGPまでは約2週間。対策できることは限られていた。

ニューウェイが語った現状

 こうして始まったオーストラリアGPでは、初日1回目のフリー走行から問題が発生。するとニューウェイはその直後に行われた国際自動車連盟(FIA)が開いた公式会見でホンダ批判ともとれる発言を行った。

「ホンダは2021年を最後にF1から撤退した。その後、22年の終わりに再びこのスポーツに復帰したが(正しくは2022年の11月にFIAに製造者登録を行い、復帰を社内で決定したのは2023年の4月)、その1年か1年ちょっとの間、レギュレーションが新しくなる26年へ向けた戦いから離れていた。ホンダが正式に復帰を決めて組織を再編したとき、撤退前のメンバーの多くはモータースポーツを離れ、太陽光パネル事業などへ移っていた。つまり再編成されたとき、F1プロジェクトのスタッフ数はかつての30%程度にすぎず、多くはF1未経験者だった。

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