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「思わず鳥肌が立った。次は優勝だ」F1の最年少記録を次々と更新する18歳の現役高校生、アンドレア・キミ・アントネッリの類まれなる才能
posted2025/06/19 11:03

カナダGPで3位表彰台に立った18歳のアントネッリ
text by

尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
現役高校生が、F1で表彰台に立った。
6月15日に開催されたカナダGPで、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が3位でチェッカーフラッグを受けた。イタリア・ボローニャ出身のアントネッリは、2006年8月25日生まれで、まだ18歳だ。
名前に「キミ」が付いているが、07年にチャンピオンとなったキミ・ライコネンと血縁関係はなく、「アンドレア」との組み合わせで、単に響きの良いミドルネームだったことが理由だという。
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ただし、その走りはライコネンにも負けない。アントネッリは高校時代に4つのジュニアカテゴリーでチャンピオンを獲得。F3選手権を通り越し、昨年は飛び級でF1直下のF2選手権に挑戦した。そのF2でもいきなり2勝を挙げ、今年メルセデスからF1にデビューした逸材だ。
次々と塗り替えられる最年少記録
その才能は日本GPでいきなり開花した。6番手からスタートしたアントネッリは、上位5人が先にピットインする中、22周目から10周にわたってトップを走行。16年のスペインGPでレッドブルに移籍しだばかりのマックス・フェルスタッペンが打ち立てた最年少ラップリーダーの記録を3日更新した。
さらに50周目には1分30秒965というファステストラップを記録。16年のブラジルGPでフェルスタッペンが樹立した、19歳44日という史上最年少記録を塗り替えた。このファステストラップは、19年に当時メルセデスにいたルイス・ハミルトンが記録した1分30秒983を更新し、鈴鹿での決勝レースでのコースレコードにもなった。
5月に行われたマイアミGPでは、スプリント予選で史上最年少となる「18歳250日」で予選最速タイムをマーク。スプリント予選は公式予選とは異なるため、アントネッリのスプリント予選トップタイムは正式なポールポジションとは認定されない。とはいえ、これまでの史上最年少ポールポジションは、08年のイタリアGPでセバスチャン・ベッテル(トロロッソ)が樹立した21歳72日。2歳以上若くして最速タイムを刻んだアントネッリに、フェルスタッペンやハミルトン、そしてベッテルの勇姿を重ね合わせたくなるのは、自然なことだろう。