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レッドブル・ホンダの命運握る男、
M・フェルスタッペン21歳の野望。
text by
今宮雅子Masako Imamiya
photograph byNanae Suzuki
posted2018/12/26 17:00
今季2勝を挙げ、ドライバーズランキング4位。貴重な特写に笑顔を見せてくれた。
「ホンダと一緒に仕事するのが待ちきれない」
レッドブルは今シーズン末、'07年以来のパートナーであったルノーとの関係に終止符を打ち、来シーズンはホンダのパワーユニットを搭載する。もともと車体性能に自信を持つチームは、ルノーの性能と信頼性不足に不満を募らせてきた。加えて'16年、ルノーが英国エンストンのチームをベースにワークス活動を復活させたことによって、優先待遇を望めないカスタマーチームとなってしまった経緯もある。さらに、'18年はトロロッソとホンダが組んだことによって、ホンダの進化を詳細に至るまで把握することが可能になった。
「ホンダと一緒に仕事するのが待ちきれない」と、フェルスタッペンは明るい。昨年の段階ですでに、HRD Sakuraを訪問し、壮大な設備を目の当たりにして、ホンダの本気と情熱を強く感じたのだと言う。
同じようにホンダに信頼を寄せ、挑戦をともにしたアロンソは、目標を達成することなく来年はF1で走らない決心をした。そんなアロンソと異なるのは、フェルスタッペンがアイルトン・セナの時代や"栄光のマクラーレン・ホンダ"を一切、意識していない点だ。
「正直言って、歴史には興味がないんだ。もちろん、アイルトン・セナの時代にとても成功したことは知っているけれど」
ホンダには成功のためのすべてが揃う。
マックスがまだ幼い頃、父ヨスは第3期F1活動を目指すホンダのテストドライバーを務めていた。最終的にホンダは自社製シャシーのプロジェクトをいったん諦め、既存のチームと組むことを決めたが「ホンダの歴史で思い浮かぶのは父がテストしていたこと」と言う。
「それと去年、研究所を訪問したとき、ホンダには成功するためのすべてが揃っていると知ったこと。メルセデスやフェラーリに挑戦しようという強い意志を感じた。そして今年、彼らはトロロッソとともに大きな上昇のカーブを描いている。信頼性に関しても僕らのメーカーのほうがトラブルを頻発していて、彼らが馬力を積み上げてきている状態だ。そもそも、ホンダにポテンシャルがなければチームは契約を結ばなかったはずだ」