第95回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
強力ルーキーたちを擁する早稲田大学。
日本体育大学は試練を乗り越えて粘れるか。
text by
箱根駅伝2019取材チームhakone ekiden 2019
photograph byShunsuke Mizukami
posted2018/12/26 11:00
最大の課題は、5区の山上り。
過去に2区を走った経験を持つ永山と太田が復調してくれば、エース区間にもメドがつく。とすれば、早稲田大学の最大の課題は5区の山上りになるだろうか。
前回までは3年連続で5区を任され、5位、4位、2位と抜群の強さと安定感を誇った安井雄一(現トヨタ自動車)がいた。彼が抜けた穴は大きいと、相楽監督も覚悟している。
「前回の総合3位という結果も、2区の太田と5区の安井の貯金があったからこそ。安井が抜けた穴を別の選手が埋めるのか、それとも残りの9区間で埋めるのか。それが今回の一番の課題だと思って、それなりの準備はしてきました」
山の神こそ出ていないが、早稲田大学はここ数年ずっと5区で安定した成績を残している。1年生からこの区間で活躍した山本修平や、東洋大学の柏原竜二と競り合った猪俣英希ら記憶に残る選手も多い。そのノウハウが受け継がれているからこそ、対策を打てるのだろう。
一般入試組、上級生の台頭。
ここに来て、嬉しい予兆もあるという。
「3、4年生の一般入試組が力をつけてきて、従来の早稲田らしいチームになりつつあります。上級生が盛り返し、奮起してきているので、箱根に関してはもしかすると下級生の出番が減るかもしれない。また上級生がメインのチームになる可能性も感じてますね」
前回は10区で、4年生の谷口耕一郎が最初で最後の箱根路を好走した。ずっとケガで苦しんできた選手だが、後ろからの日本体育大学の猛追をかわし、最後は前を行く東海大学の選手を追い抜いて、順位を4位から3位に上げた。苦労を知る安井ら4年生が涙を流してアンカーを迎え入れ、小さな輪ができたフィニッシュシーンは感動的ですらあった。
「じつはあの時、15kmくらいから運営管理車で駒野(亮太コーチ)は泣いていたんです。ずっと根性のない九州男児だねって揶揄していた選手が、意地でも抜かせない、そのシーンを見て。最後に九州男児らしい勇姿を見せてくれて私も感動しました。今回もそういうレースをお見せできればと思います」
苦況を跳ね返すには、上級生の踏ん張りが不可欠だ。キャプテンの清水歓太を中心にどれだけチームがまとまれるか。臙脂のプライドが、今こそ試されている。