濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
弱小団体ガンプロ、後楽園再進出!
立役者となった“場末のMr.プロレス”。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byDDT Pro-Wrestling
posted2018/12/21 10:00
勝者・藤田ミノルはガンプロに対する厳しい言葉を投げかけた。惨敗した大家健はこの思いにどう応えるのか……。
藤田が求め続けてきたものとは?
大家と藤田はガンプロとBASARAのユニット・戦闘民族の対抗戦で“再会”した。大家から後楽園でのシングルマッチを要求されると、藤田は「俺は自分の気持ちに嘘をつくようなプロレスはしてない。お前の正義をぶつけてみろ。俺は俺の正義を後楽園でぶつける」と挑発した。会場を見渡して「なんだこのザマは? あの時よりお客さん減ってねえか?」とも。選手も観客も、正論に言葉を失うしかなかった。
「ユーチューバー草なぎ」企画で大家と今成がやったことは、団体を支える人間として間違っていない。しかしフリーの藤田にはフリーなりの立場があり、捨ててはいけないプライドもある。ガンプロのリングが“ギャラさえもらえれば何でもいい”ような場所ではないからこそ、だ。死ぬまでプロレスやってろと言ってくれた「元奥さん」に胸を張れないプロレスでは意味がない。
「人生を犠牲にしてプロレスをやっている」
試合を前に、大家に「人生をかけてプロレスをやってる」と評された藤田は、それを否定している。
「違います。ワタシは人生を犠牲にしてプロレスをやっているのです」
後楽園での大家vs.藤田はノーロープ有刺鉄線デスマッチで行なわれた。試合形式も含めて、大家にとっては挑戦だった。
今年、大家は精彩を欠いてきた。夏のトーナメントで一回戦敗退。連敗をきっかけに大会途中で会場を去り、失踪騒動になったこともある。失踪中の割にはDDT公式サイトのグッズ通販で大家のサインプレゼントキャンペーンが実施され、そういうところも中途半端だった。というよりこの時期、DDT自体が大家とガンプロを雑に扱っていたような気がしてならない。