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ユーベの「史上最強」論争が勃発。
ロナウドの加入でセリエを独走中。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2018/12/12 11:30

ユーベの「史上最強」論争が勃発。ロナウドの加入でセリエを独走中。<Number Web> photograph by Getty Images

第15節に行われた3位インテルとの注目のイタリア・ダービーも、66分にマンジュキッチが挙げた1点を鉄壁の守備で守り、制した。

史上最強の候補は5つある。

 ラインナップを見るだけで胸躍るような上記の2チームはいずれも甲乙つけがたいものの、21世紀に生きるファンたちは、もはやノスタルジーの世界にある2つの黄金チームではなく、現実に目の当たりにしているチームに最も多くの票を投じ(得票率45.3%)、現チーム最強説を支持した。

 もちろん反論はある。

 今夏、C・ロナウド入団が決まった時点で「ユーベ史上最強チーム」を巡る論議には一度火が付いていた。そして、現地の識者や好事家たちは「史上最強チームとなるには少なくとも過去の偉大な4チームを超えねば」と口角泡を飛ばした。

 偉大な4チームとは、前述のアンケート候補にあがった2チームに加えて、闘将コンテが歴代最多勝点記録「102」を樹立した「'13-'14年型」、そして名将カペッロに率いられた「'05-'06年型」のことだ。

「'13-'14年型」は確かに記録の点では最高だが、欧州の舞台でELベスト4止まりという泣き所がある。

 2006年のチームはカルチョ・スキャンダルに見舞われ、スクデット剥奪という汚名を負ったが、その陣容ときたら泣く子も黙るとはこのことかと言わざるを得ない。

 何しろ全員のキャリアを見れば1998年フランスW杯と2006年ドイツW杯の優勝メンバーが合わせて8人もいて、バロンドールが2人(MFネドベド&DFカンナバーロ)もいる上に、さらにFWイブラヒモビッチとMFエメルソンまでいた。極端にいえばレジェンド・プレーヤーしかいないという反則級のチームだった。

レジェンドたちも感嘆。

 ただし、今季のチームは歴代OBたちも一目置かざるを得ない存在になってきている。彼らは過去に囚われることなく「今季のチームは史上最強になれる」と揃って証言している点が興味深い。

 最強候補の1つ「'95-'96年型」チームの主力だった監督パウロ・ソウザ(元フィオレンティーナ監督)は、古巣が本拠地でユーベに完敗する14節を前に「こんな強いユーベはかつてなかったんじゃないか」と感嘆の声を漏らした。

 1970年代に主将を務めた元FWアナスタシは、C・ロナウドが初ゴールを奪った9月中旬のサッスオーロ戦後、「今季のチーム戦力はクラブ史上最高」と確信した。

 正しいのは識者か、それともファンやOBか。

【次ページ】 イタリアで論理的なのはユーベだけ。

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