セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ユーベの「史上最強」論争が勃発。
ロナウドの加入でセリエを独走中。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/12/12 11:30
第15節に行われた3位インテルとの注目のイタリア・ダービーも、66分にマンジュキッチが挙げた1点を鉄壁の守備で守り、制した。
監督はタイトルにしか興味がない。
創刊150年を越す老舗の地元紙『ラ・スタンパ』の番記者ジャンルカ・オッデニーノも「今季最強説」への条件を上げ、期待を膨らませている。
「今季のユーベが(2010年に始まった)アンドレア・アニェッリ会長時代最強のチームであることは明白だ。C・ロナウドが加わったからじゃない。今のチームは昨季までに7連覇を達成したチームより、さらに成熟し、より自覚を備え始めている。ゾフやプラティニらがいた時代のチームを越えるためには、やはりCLのタイトルを獲らねばならないだろう」
現主将キエッリーニがユーベに入団したのは2005年夏のことだ。彼はカペッロの怪物たちの中に混じった控えの新人に過ぎなかった。
在籍14年目を迎えた彼は、今月に入って招かれた表彰イベントで「今年のチームはクラブ史上最強か?」と問われ、謙遜しながら「いや、史上最強とはタイトルを勝ったチームのものだ。つまり、1996年と1985年のチームだよ」と即答している。
「重要なのは優勝クラブとして年鑑に名を残すか否か」を信条とする指揮官アッレグリにとって、「ユーベ史上最強チーム」という称号は正直どうでもいいにちがいない。
ファンや周囲の思惑とは裏腹に、ビッグイヤーとスクデットを獲った後おまけでついてきたら嬉しい、ぐらいの感覚でしかないだろう。
もし今季のチームと1996年のチームが戦ったら。2006年のチームとやったら。
トリノの寒い冬の夜もこの話題でなら熱くなるはずだ。
今季のユーベがスクデット8連覇をする可能性はかなり高い。もしCLでも悲願の優勝となれば「ユーベ史上最強」の称号は文句なく今季チームのものだろうと思う。