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浦和・槙野&宇賀神の走り方改革。
常に踵を上げて、手はグーからパー。
posted2018/12/08 10:00
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
URAWA REDS
陸上競技の専門家から見れば、日本のプロサッカー選手には伸びしろがまだまだあるという。言い換えれば、改善の余地があるのだ。
400mハードルなどで活躍した元陸上選手の秋本真吾氏(36歳)は、プロのスプリントコーチとして、男女合わせて180人にのぼるサッカー選手の走り方を指導してきたが、いつも最初は同じような印象を持つ。
「ほとんどの選手は上半身を前に倒し、地面を後ろへ蹴るように走っています。速く走るには、思いっきり力いっぱい走るという感覚の選手たちが多い印象です。それではスピードの低下だけでなく、ケガを招く恐れもあります。ただ、それなのに十分速く走れてしまうから驚きます。みんな、ポテンシャルが高いんですよね。正しい走り方を習得すれば、もっと足が速くなると思います」
無駄な体力を消耗しない走り。
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陸上界では動作分析が進んでおり、スピードを出すための理論が確立されている。
「スピード=足の回転×歩幅」
いかにして足の回転を上げ、歩幅を広げるかどうかが重要になってくる。そのためには、地面を蹴るのではなく、跳ねるように走ることが重要だ。
足が地面に着地した際にかかとを浮かせることでアキレス腱の反射、いわゆるバネを使うのだ。太ももはただ上げるのではなく、接地したらすぐに前に移動するように動かす。最も大事なのは、正しい姿勢で走ること。
秋本氏は「足を速くしたい」と依頼を受けて、サッカー選手の指導を続けていると、選手たちから思わぬ感想を耳にした。効果が出たのは最高速度の向上だけではなかった。
「90分間、体力が持つようになりました」
力を効率よく使って走ることで、無駄な体力を消耗しなくなっていたのだ。