【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
『グラゼニ』凡田夏之介vs.池田純、
再びメジャーを目指す選択肢も?
text by
池田純Jun Ikeda
photograph byNumber/Morning
posted2018/12/06 07:00
凡田夏之介(右)にオリジナリティあふれるアドバイスを送った池田純氏。その内容とは?
コーチや監督の難しさ。
夏之介「そうなんですか?」
池田「もちろん! では、一緒に夏之介選手のセカンドキャリアを考えていきましょうか。
まずは……。引退後も野球界で生きていきたいのか、それとも野球から離れて、新しいキャリアを築いていきたいのか。夏之介選手は、どっちでしょう?」
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夏之介「うーん……。やっぱり僕は、野球界で生きていきたいと思っています。だったら、コーチとか監督とかを目指したほうがいいですかね?」
池田「それも確かに選択肢の一つではあります。最近では指導資格を回復させた上で、高校野球の指導者になるケースも増えてきていますしね。でも……たとえばプロ野球球団のコーチという職業は、球団にいつでもクビを切られる立場です」
夏之介「そうですよね……。これまでチームメイトだった親しい先輩がコーチや監督になれば、その球団に引っ張ってもらえる可能性もあるけれど」
池田「逆の面もある。監督が替われば、新監督の好みで人事が決まってしまうポジションでもありますし、そもそも球団内の誰についていくかで、出世の速度も変わってきます」
夏之介「派閥みたいなものですか?」
池田「まあそうですね。しかも各球団で誰についていくのが正しいか、なんてことはなかなかわかりませんし、効率よく振る舞い、球団内で出世を遂げ、叩き上げで監督やGMになることは本当に大変なことだと思いますよ」
夏之介が思い浮かべた球団。
夏之介は、これまでお世話になった球団を頭の中に思い浮かべた。プロ入りから10年間所属した神宮スパイダース、文京モップスでの4年間、そして移籍して1年目の仙台。入団時の縁を考えれば、引退後、スパイダースから声がかかる可能性は十分にあるだろう。
また、モップスは生え抜きほど厚遇されることはないにせよ、一度あの伝統のユニフォームを身にまとった選手であればスタッフ入りする可能性もあり、組織の大きさを考えても職を得られる確率はそれなりにある。
仙台には、同じ山梨出身の先輩である徳永投手コーチとの深い絆があり、それがコーチとしてのキャリアにダイレクトにつながる可能性もある。でも……すべては可能性にすぎない。確実なこと、約束されていることは、なにひとつない。そう考えると、将来への不安がまた頭をもたげてくる。