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自由を謳歌しているベンゲルが、
もし今のアーセナルを語ったら。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byUniphoto Press
posted2018/12/04 10:00
エメリ体制でも上位をキープしているアーセナル。ベンゲルは今何を思う?
ジャカは相変わらずリスキー。
中盤にも新顔がいる。ルーカス・トレイラだ。いまや欠かせない存在といって差し支えない。パトリック・ビエラほど大きくはないが、非常に俊敏だ。また、ワンタッチ、ツータッチで繰り出すパスはテンポがよく、アーセナルが攻撃のリズムを刻むうえで重要な役割を担っている。世界でもトップランクの中盤センターになりうる逸材だ。
さて、グラニト・ジャカ──。相変わらずリスキーな男だ。目を見張るロングフィードを通したかと思えば、目を覆いたくなるようなミスで失点したり、ピンチを招いたり、さながら『ジキルとハイド』のようだ。
しかしエメリ監督は、ジャカにゲームキャプテンを託している。この人選は信頼の証だろう。アーセナルに加入して3シーズン目。決して古株ではないジャカはアームバンドを委ねられたのだから、その責任をまっとうしなければならない。
ラムジーの去る日が近づく?
本来であれば、ゲームキャプテンはアーロン・ラムジーが適任だ。マンチェスター・ユナイテッドの勧誘を蹴り、カーディフからやって来て11年目。アーセナルをよく知る彼こそがリーダーになるべきだった。
ただし、来年の夏にはフリートランスファーとなる。早ければ1月に出ていくかもしれない。そのような選手にゲームキャプテンは託せない。第13節終了現在、今シーズンの先発はわずか6試合。エメリ監督は正しい決断を下した。
洋の東西を問わず、いつの時代も契約で揉めるケースはある。エージェントに踊らされているのか、本人の意思なのか、あるいは家族が影響しているのか。交渉中に思わぬトラブルに出くわすケースは頻繁にある。今回も些細な意見の食い違いが、大きな綻びに姿を変えたのだろうか。ラムジーが翻意することはない、と伝えられている。
チェルシー、リバプール、バイエルンなどが虎視眈々との情報も耳に入っているが、できるものなら残ってほしかった。それにしても、ジャック・ウィルシャー(現ウェストハム)に続いてラムジーも去るとは……。寂しいものだ。