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天心vs.メイウェザーで思い出す、
異種格闘技トラブルと“猪木アリ”。 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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posted2018/12/04 07:30

天心vs.メイウェザーで思い出す、異種格闘技トラブルと“猪木アリ”。<Number Web> photograph by AFLO

今なお語り継がれる猪木vs.アリ。ボクサーの異種格闘技戦における1つの到達点であったことは間違いない。

船木誠勝と4階級王者の対戦も……。

 高田vs.バービックの5カ月後、当時、プロフェッショナルレスリング藤原組の若きエースだった船木誠勝も、超大物ボクサーとの異種格闘技戦を経験している。

 船木は、'92年4月19日に東京体育館で行われた藤原組の1周年記念興行で、ボクシングで世界4階級制覇している“パナマの英雄”ロベルト・デュランと対戦。

 船木にとって初となる本格的な異種格闘技戦で、しかも相手はボクシング界のビッグネームということで注目を集めたが、デュランは明らかなウェートオーバーの身体で登場し、Tシャツ姿で試合をして、観客を失望させた。

 この試合、デュランはエンターテインメント性の強いメキシコのプロレス「ルチャ・リブレ」の選手とエキシビションを行うつもりだったため、あのようなコンディションだったといわれている。

 母国パナマはスペイン語が公用語のため、「プロフェッショナル・レスリング」が「ルチャ・リブレ」と訳されて、誤解が生じてしまったのだ。

 結局、試合は船木が3ラウンドに腕固めを極めてギブアップ勝ちしたが、デュランがあまりにも調整不足すぎたため、船木にとっては素直にはよろこべない勝利だった。

天心の名前が世界に広がってほしい。

 このように、これまで超大物ボクサーの“異種格闘技戦”は、すっきりしない結末の試合がほとんどだった。はたして今年の大晦日に行われる、那須川天心vs.フロイド・メイウェザーJr.の3分3ラウンド“非公式戦”は、どういった試合になるのか。

 どんな結末になろうとも、かつて猪木が「アリと戦った男」として、その知名度を世界的に広めたように、那須川天心が世界に衝撃を与え、その名が一気に広まるような試合に期待したい。

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