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俊足、華麗でなくてもJ2で250試合。
岐阜・田森大己を支える大木イズム。
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/11/24 10:00
甲府に始まり岐阜で到達した250試合出場。田森大己のような存在がいるから、J2は滋味にあふれる。
35歳でJリーガーという矜持。
その大木監督のもと、250試合目を左サイドバックで迎えたのも、また何かの巡り合わせか。“地味”かもしれないが、一度身に付けた技術が確かだからこそ、簡単には錆びつかない。
プロ13年目のシーズンを終えた35歳。かつての怒られ役は、ベテランと呼ばれる年齢になった。
「35歳ですか。自分がプロに入ったとき、甲府で一番年上だった林健太郎さん(現ヴィッセル神戸アシスタントコーチ)が、たしか33歳でしたからね。それを越しちゃったのは、なんだか不思議な感じですね」
まるで実感が伴っていない様子のなか、毎シーズン着実に試合に絡み、ここまでJリーガーでいることのできた理由を、振り返ってもらった。
「もともとエリートじゃなかったんで、余計なプライドがなかった。だから試合に出られないからといって、変に落ち込んだり腐ったりしているヒマがなかった。ずっとやらなきゃいけない立場だったから。試合に出られないなら、練習しないといけないって、最初から理解していたからじゃないですかね。ずっと雑草でやってきたんで」
雑草という名の植物はない。すべての植物には名前がある――。そんな一節をあらためて思い出した。人知れずひっそりと。雑草にだって、花は咲く。