フランス・フットボール通信BACK NUMBER
男子よりも女子サッカーに期待!?
メキシコで盛況の女子プロリーグ。
text by
トマス・グバンThomas Goubin
photograph byL'Equipe
posted2018/11/20 16:30
男子の試合に負けず劣らず観客が熱狂的なのが、メキシコの女子サッカーの現場である。女子W杯でも期待がかかる。
可能性を秘める女子プロリーグ。
たしかにモンテレーとティグレスという両クラブのライバル関係が、熱狂に油を注いだのは間違いない。だが、モンテレーのスタジアムでは通常のリーグ戦でも5000人を上回る観客を動員しているという。リーグがまだ産声を上げたにすぎない時期からこうである。
フェラルが語る。
「プレーのレベルはフランスの方が高いけれども、のしかかる重圧はメキシコの方がずっと大きい。人々の関心はそれだけ高く、試合の結果に一喜一憂して子供たちが泣いたり笑ったりしているのを私も見ました」
クラブの試合における歴代観客動員では、トップ10のうち5つがメキシコでのゲームである。リーグ創設から1年で成し遂げられたのだから、驚くべきと言わざるを得ない。
「大きな可能性を秘めている」と、2009~'17年にかけメキシコ女子代表のフィジカルトレーナーを務めたフランス人のメフディ・メダウィは語る。
「'09年にシウダード・フアレスでカナダU-20代表と対戦したときは、世界で最も危険と見なされている街に2万人のサポーターが集まった。それほどまでに彼らは女子サッカーに熱い思いを抱いている」
ビジネスの可能性は皆無で……。
プロリーグが開幕する前のメキシコでは、女子サッカーは停滞気味であった。
「男子への思い入れが強すぎて、クラブの会長たちが女子に目を向ける余裕がなかったからです」と、『フォックス・スポーツ』の記者でフェミニズムの活動家でもあるマリオン・レイメルスは言う。
「女子サッカーが将来ビジネスの対象になるなどとは、彼らにはまったく想像ができませんでした」
FIFAが女子サッカーの発展を推進したのも偏見を取り除く後押しとなった。メダウィが述べる。
「イメージあるいはプライドの問題として、ほぼすべてのクラブが女子に投資するようになった。ティグレスやパチューカのようにスタートから女子リーグに力を注いでいるクラブとの戦いで、屈辱的な結果を得ることに耐えられないと他のクラブも考えた」