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男子よりも女子サッカーに期待!?
メキシコで盛況の女子プロリーグ。
posted2018/11/20 16:30
text by
トマス・グバンThomas Goubin
photograph by
L'Equipe
男性優位社会のメキシコにあって、2017年に創設されたプロサッカーの女子リーグ(男子同様に「リーガMX」の名称で呼ばれている)が多くの観衆を集めているのを、皆さんはご存じだろうか。
アメリカ、ドイツ、イングランド、フランス、スペイン、イタリアに続く世界7番目の女子プロリーグは、開幕した当初から世界のどこにも類を見ない熱気に包まれている。
その熱さと、同時にメキシコ女子サッカーが抱える問題点とを、トマ・グバン記者が『フランス・フットボール』誌10月30日発売号でレポートしている。
監修:田村修一
マルセイユよりもサッカー熱がある。
フランスではマルセイユがそうであるように、ヌエボ・レオン州の州都モンテレーはメキシコでも際立ってサッカーに熱い街である。
オリンピック・マルセイユで1年を過ごした後、今季から女子のクラブチーム「UANLティグレス」(ホームタウン:サン・ニコラス・デ・ロス・ガルサ/ヌエボ・レオン州)に籍を置くクリスティーナ・フェラル(メキシコ)は、ふたつの街の熱さを立て続けに肌で実感したのだった。
ただ、マルセイユの場合は、人々の興味は男子にしか向けられていないと、メキシコ代表MFである25歳の彼女はいう。
「ホームゲームでも、観客は200人しか集まらなかった」
CFモンテレー(ホームタウン:モンテレー/ヌエボ・レオン州の州都)のスタジアムでは違う。そのアウェーの地で彼女を待ち受けていたのは、スタンドを埋め尽くす多くの観衆であった。
「ここでは3万8000人の前でプレーしたこともあります。まるで男子の試合のようだったわ」
今年8月13日、このメキシコ第3の都市モンテレーでおこなわれたUANLティグレスとのダービーマッチでは、ティグレス側のスタンドは満員の観衆で埋め尽くされた。その数週間前、両チームが国内女子プロリーグ「リーガMX」の優勝決定戦で対戦した際も同様だった。
5月5日のリーグ戦における第2節は、5万1000人の大観衆が“ラヤダス(縦縞/モンテレーの愛称)”のスタジアムを訪れ、女子サッカーにおけるクラブ同士の試合の観客数世界記録を更新したのだった。