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ルーニーが母国代表に最後の別れ。
ウェンブリーは希望で満たされた。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byUniphoto press

posted2018/11/20 07:00

ルーニーが母国代表に最後の別れ。ウェンブリーは希望で満たされた。<Number Web> photograph by Uniphoto press

現エースのケインと笑顔で会話するルーニー。イングランド代表の世代交代を象徴する。

若手のプレーが光った。

 国内紙は代表の“過去の人”ではなく、現在と未来を背負う面々に多くの文字数を割いた。投入後の元エースに最初のシュートチャンスを提供したのは、ジェイドン・サンチョ。代表初先発を4-2-3-1の2列目右サイドで経験した18歳は、20歳の右SBトレント・アレクサンダー・アーノルドのゴールをアシストした。フルタイム出場を記録した2人はルーニーの代表デビュー当時は小学校にすら上がっていなかった新世代だ。

 10番をルーニーに譲り、交代で2列目も譲ったジェシー・リンガードは、カーブをかけてゴール右上隅に放り込んだ先制点で存在感を示した。リンガードとの呼吸も良いデル・アリは、トップ下で「ナンバー10」の攻撃センスを感じさせるパスワークを披露した。

 試合後、指揮官は最後まで容赦なく攻め込めなかったチームに対し、「トップレベルを目指すうえでは許されない甘さ」と厳しい自己評価を下し、「同じことをしたらクロアチアに負けてしまう」と警笛を鳴らした。

 ただ印象的だったのは、前半と終盤の攻勢について「選手たちには、代表のユニホームを着ている時でも思い切って物事にトライしてほしい」という発言だ。

前向きな変化が最高の送別品。

 ルーニーが代表で接した指揮官の中で「最も勇敢な監督」と形容するサウスゲイトの下、イングランドでは'22年W杯優勝へ向けて前向きな変化が進んでいる。この感覚こそが、「今後はファンに戻る」と語る本人が、最後の代表戦で得た最高の送別品だろう。

 ルーニーはイングランドのエンブレムを模した金色の盾も受け取った。FAのグレッグ・クラーク会長と一緒に贈呈したのは、現代表のエース兼キャプテンのハリー・ケインだ。「代表得点記録を破ってくれるだろう。その時には自分が記念のトロフィーを手渡したい」と願った、ルーニーによる指名だった。

 しかも、「破ってくれる」の部分は可能性を意味する「can」ではなく、時間だけの問題を意味する「will」を使っていた。

 ホームでファンに感謝と別れを告げたルーニーも、キックオフ30分前に観衆の1人がスタメンを読み上げた時点から、最も盛大な拍手喝采でルーニーを迎えたウェンブリーの観衆も、誰もが笑顔で終えたアメリカ戦。ルーニーとイングランド・ファンとの関係は、「希望」で締め括られたのだった。

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