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ベスト布陣でドルトムントに敗戦。
ついにバイエルン1強時代が終焉へ。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto press
posted2018/11/16 10:30
バイエルンの牙城を崩したのは、ドルトムントで今季絶好調のロイス(左)だった。
ドルトムント戦はベスト布陣。
コバチ監督はフライブルク戦でターンオーバーを採用。リベリー、ゴレツカ、ミュラーなどを控えに回しました。フンメルスやハビ・マルティネスは出場なし。
結局、この選手温存策が功を奏さなかったわけですが、続くチャンピオンズリーグのAEKアテネ戦では、上記のメンバーがスタメンに復帰。レバンドフスキの2ゴールで快勝を収め、アヤックス、ベンフィカを抑えてグループEの首位に立っています。
そして11月10日、ブンデスリーガ第11節の『デア・クラシカー』。首位ドルトムントとの直接対決を迎えたバイエルンのコバチ監督は、現状のベストメンバーと言える陣容をピッチへ送り出しました。
もし、このゲームを落とせばドルトムントとの勝ち点差を7にまで広げられるうえにリーグ順位を一気に落とす可能性もあったため、当然バイエルンはアウェーの地でも必勝を期したわけです。
スリリングな撃ち合いの末に。
前半はバイエルンがホームチームを圧倒しました。26分、ニャブリのクロスに反応したレバンドフスキがヘディングシュートを決めた瞬間、ジグナル・イドゥナ・パルクの大観衆がシーンと静まり返ったのが印象的でした。ドルトムントはキャプテンのロイスが絶好機を決められない場面が続き、不穏な空気が流れます。
しかし、後半に入ると徐々にドルトムントが巻き返します。49分、ロイスがノイアーに倒されて得たPKを自ら決めて同点とすると、その後は両チームとも死力を尽くす戦いに。
52分、レバンドフスキがキミッヒのアシストを受けて再びヘディングシュートを打ち込み2-1とするも、ドルトムントはピシュチェクの高速クロスに反応したロイスが痛烈な右足ボレーを決めて再度追いつき、73分、交代出場のアルカセルがオフサイドラインぎりぎりから抜け出して決勝ゴールを決めました。
いやー、スリリングにしてエキサイティング! バイエルンのウリ・ヘーネス会長も「ブンデスリーガの素晴らしい試合を観た」と、両チームの労をねぎらったほどです。
とはいえ、頂上決戦での敗戦はバイエルンにとっては痛恨。戦前の不安が現実と化した彼らは順位を5位にまで落とし、ボルシアMG、ライプツィヒ、フランクフルトの後塵をも拝する結果となっています。