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梶山陽平、新潟での4カ月と引退。
安田理大「俺らの10番はカジくん」
text by
大中祐二Yuji Onaka
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/11/16 17:00
新潟では13番を身につけた。しかしFC東京、北京五輪を知る者にとって梶山陽平は揺るぎない「ナンバー10」だ。
デビュー後に待ち受けた連敗。
54分に交代出場し、梶山が新潟デビューを果たしたのが大分戦の翌節、第28節の栃木SC戦だった。負のサイクルに陥ったチームは0-3とまたも完敗。続く第29節大宮アルディージャ戦で梶山は初めて先発し、フル出場。鮮やかなボールコントロールから渡邉新太の得点をアシストした。だが試合は1-2と競り負けて、とうとう5連敗になってしまう。
しかし梶山は、流れが変わりつつあるのを感じていた。チームは試合で出た課題をトレーニングで1つひとつクリアし、その積み重ねが少しずつ試合で発揮され始めたのだ。ボランチでプレーした自身の大宮戦の反省として、もう少し前線に顔を出し、攻撃にも絡みたいという課題も見つかった。さあ、これから。その矢先だった。
第30節のアビスパ福岡戦にも敗れ、ついに6連敗となった。この試合で出番のなかった梶山だが、第31節愛媛FC戦は先発、58分に交代してベンチに退いた。梶山にとって新潟で3試合目、苦しみながらもチームは0-0と引き分け、ようやく連敗を止めた。
膝が悪化し「仕方ないかな」。
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愛媛戦の前半、相手との接触で古傷の右膝を打撲した。結果的に、これが引退を決意する理由となる。これまでも膝の痛みとは付き合ってきたが、今回はまるで違う痛みだった。いくら治療とリハビリに打ち込んでも回復しない。それどころか、痛くて走ることすらままならないほど、膝の状態は悪化してしまった。
11月14日、引退を発表した梶山は、吹っ切れた表情だった。
「ここ数年、膝の痛みと戦ってきたし、今回、いきなり引退を決めたわけではないです。いつまで現役でできるのかな、というのもあったし、新潟で駄目だったら、と覚悟して来たから、仕方ないかな、と。引退を決めるとき、そんなに迷いはなかったです」