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小笠原満男が掲げたACL優勝カップ。
「キャプテンはあなたですから」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/11/13 17:00
鹿島における小笠原満男の存在感は、まさに別格だ。彼のメンタリティがこのチームを強豪たらしめている。
鹿島で果たすべき仕事は残っている。
「『今年もこれで終わったか。また小笠原と曽ヶ端は引退できないな』と鹿島アントラーズがACLで敗れるたびに私はそう思ってきた」
「じゃあ、ACL獲ったら、引退しろっていうこと?」
「いえいえ、とんでもないです。ごめんなさい」
これは今年2月、曽ヶ端と交わした会話である。彼は間髪入れずにそう言ってから、笑った。ルーキー時代から長く取材をさせてもらってきた間柄だからこそ交わした軽口だったのだが、確かに曽ヶ端は正しい。きっと小笠原も同じ思いに違いない。
引退する必要なんてない。逆にまだできない。
なぜなら、「全冠制覇」こそが、小笠原の悲願なのだから。
まだ、鹿島で果たすべき仕事は残っている。