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コーラの頭脳と勝利への総力戦。
レッドソックス圧勝劇の舞台裏。

posted2018/11/10 17:00

 
コーラの頭脳と勝利への総力戦。レッドソックス圧勝劇の舞台裏。<Number Web> photograph by AFLO

5年ぶりのワールドシリーズ優勝を祝い、トロフィーを掲げるレッドソックスのアレックス・コーラ監督と選手たち。

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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AFLO

 レッドソックスの圧勝劇でワールドシリーズが終わり、メディアは一斉に、賞レースとFA選手の行方に注目しはじめている。

 大谷翔平も、ア・リーグ新人王の最終候補3人のなかに残った。発表は米国東海岸時間の11月12日午後6時。大谷の受賞は有力と見るが、ミゲル・アンドゥーハーの安定感を評価する声も、依然として一部では高い。

 そちらへの関心は、ちょっと後まわしにさせてもらおう。私の頭のなかでは、ワールドシリーズ第3戦と第4戦の残響がまだ消えていない。表面的にはレッドソックスの圧勝で終わったシリーズだが、あの2試合には相当に重大なモメンタムが潜んでいた。はい終わりました、で消化してしまうのではなく、それを少しでも整理しておきたい。

 レッドソックス2勝で迎えた第3戦は、歴史的な長時間ゲームになった。延長18回を戦って3対2でドジャースの勝利。試合時間が7時間20分で、出場した選手が両軍合わせて46人。登板した投手は合計18人。561球が投げられ、34個の三振が奪われ、125個のファウルボールが飛んだ。

9人目の投手が6イニングスも。

 まさに総力戦の極致だが、なかでも眼を惹いたのは、延長12回の裏から登板したレッドソックス9人目の投手ネイサン・イーヴォルディが、なんと6イニングスも投げたことだ。

 ご承知のとおり、イーヴォルディは18回裏、先頭打者マックス・マンシーに左中間へのサヨナラ本塁打を喫し、敗戦投手となった。しかし彼は、第1戦と第2戦でもリリーフとして1イニングずつを投げていたのだ。つまり中1日での登板。

 この状況で6イニングスを投げた救援投手など、最近40年ほどのワールドシリーズを振り返っても、見たことがない。もっとも彼は、第4戦の先発予定だったから、一種の繰り上げ登板と見ることはできる。それにしても……。

 レッドソックスは、というよりアレックス・コーラ監督は、意表をつくほど攻撃的な継投策に踏み切ったものだと思う。

【次ページ】 敗戦後に労ったコーラ監督。

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