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鹿島ACL先勝はボランチの妙にあり。
三竿健斗が記した2戦目への誓い。
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byGetty Images
posted2018/11/05 11:15
大岩剛監督が描いた「複数得点、無失点勝利」のゲームプランを遂行した鹿島。初のアジア王者が見えつつある。
流れを変えたレオ・シルバ。
固い流れをプレーで、そしてゴールパフォーマンスで変えたのが、レオ・シルバだった。58分、土居聖真とのワンツーから左足での「強さよりもコースを狙った」シュートは、ロシアW杯でC・ロナウドのPKを阻止したイラン代表GKべイランヴァンドの手をすり抜け、ゴールネットを揺らした。
「ハーフタイムに大岩監督からの修正指示を受けて、後半はみんなが狙いを定めてプレーできていた。得点シーンは練習でやっている通りの攻撃ができた」
ゴール後は「来い、来い」とチームメイトを呼び集めた。
「ゴールは全員がボールに関わっている。みんなで喜びを分かち合おうと思った」
レオ・シルバのもとに、選手が集った。ピッチにいた選手だけでなく、ゴール裏でアップしていたベンチの選手たちとともに喜びを分け合った。そして、何度も両手を上下に振り上げ、スタジアム全体を真っ赤に染めたサポーターをあおった。
三竿のボール回収から追加点。
渾身のゴールパフォーマンスは、「チームに一体感を生んだ」と昌子もうなずいた。
もう1人のボランチ三竿健斗は、ロングボール主体の相手攻撃に対して、セカンドボールを拾うことがカギと踏んでいた。
「ロングボールが多くなることは分かっていたので、そのファーストボールをしっかり競ることと、僕はそのセカンドボールを予測して全部拾うことを意識していた」
70分、西大伍が倒されて得た右サイドでのFKをセルジーニョが蹴ると、ゴール前のこぼれ球に背番号20が素早く反応した。「ヘディングは飛ばない」と、胸トラップに切り替え、右足ダイレクトで右のセルジーニョへ。彼のACL5戦連続となるゴールをアシストした。
「セカンドボールを拾えるかどうかで、自陣でプレーするのか、相手陣内でプレーするのか変わってくる。その積み重ねが相手を押し込む1つのキーになったのかなと思う」
三竿健斗がセカンドボールを拾い続けたことで、じわじわと相手陣内へ押し込むことにつながった。
「ここに来るだろうっていう予測をするなか、自分のところに来る回数が多かったので、それはコンディションがいい状態だと思うし、高い集中力でやれている証かなと思う」