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強かったルメール&レイデオロ。
消耗戦の天皇賞、最後は底力勝負。
posted2018/10/29 11:30
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
豪華メンバーが揃った第158回天皇賞・秋(10月28日、東京芝2000m、3歳以上GI)を制したのは、クリストフ・ルメールが騎乗した2番人気のレイデオロ(牡4歳、父キングカメハメハ、美浦・藤沢和雄厩舎)だった。
同馬にとっては昨年の日本ダービー以来のGI2勝目。ルメールは、秋華賞(アーモンドアイ)、菊花賞(フィエールマン)につづく3週連続GI制覇。これも昨春(ヴィクトリアマイル、オークス、日本ダービー)以来2度目のことだった。
何かが起きそうな前兆はあった。最後に馬場入りしたダンビュライトがスタンド前で暴れ、鞍上の戸崎圭太を振り落として放馬。場内は騒然となった。同馬はカラ馬となってコースを走り、馬体検査の結果、疲労が著しいとして出走除外に。ただでさえ少頭数だったこのレースは、距離が2000mに短縮された1984年以降最少頭数だった'98年と同じ12頭によって争われることになった。
スワーヴはスタートの不運で脱落。
典型的な逃げ馬が不在の今回、ハナを切ると思われていたダンビュライトの除外がどう響くのか。
ゲートがあくと、実況の「おおっと!」という声とともに、スタンドから悲鳴が上がった。
1番人気に支持されたミルコ・デムーロのスワーヴリチャードが、最後方まで下がってしまったのだ。外から寄ってきたマカヒキに弾かれるようにして、内のレイデオロとの間に挟まれたためだった。
「スタートでぶつかりました。直線もぜんぜん伸びなかった。久々で気持ちが入っていませんでした」とデムーロ。
管理する庄野靖志調教師も「出遅れて挟まれ、気持ちが切れてしまった」と、ゲートをポイントに挙げた。同距離の大阪杯の覇者で、さらに得意の左回りということで支持を集めていたのだが、10着に沈んだ。