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強かったルメール&レイデオロ。
消耗戦の天皇賞、最後は底力勝負。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2018/10/29 11:30
今年のリーディングジョッキーをほぼ手中におさめたルメールに導かれ、レイデオロが天皇賞を制した。
アーモンドアイと比べると……?
3コーナー入口の中間地点(1000m通過地点)からゴールまでの1000mは57秒4。前半より2秒も速くなった流れを、レイデオロはロングスパートで差し切ったのだ。また、この過酷な消耗戦で上位に残ったキセキとアルアインは、それぞれ菊花賞馬の強さと、皐月賞馬の速さを存分に生かし切った。
底力がなければ勝てないレースを、名手にエスコートされたダービー馬が制した。
「パドックで馬を見たとき、完璧だった。いっぱい自信がありました。去年のジャパンカップと同じぐらい、いい状態でした。みんなに感謝したいです」
そう話したルメールは、ハーツクライでディープインパクトを下した2005年の有馬記念でJRA・GI初勝利を挙げてから、これがJRA・GI20勝目となった。
「天皇賞を勝ったのは初めてなので、嬉しいです。藤沢先生のダンスインザムードで2着になったこともあった('04年秋)ので、ぜひ勝ちたいと思っていました」
アーモンドアイと対決することになったらどうかと訊かれると、苦笑してこう答えた。
「難しい質問です。アーモンドアイは特別な馬で、レイデオロも強い馬です。比べたら、アーモンドアイのほうが速い。そのとき(2頭が対決するとき)は頭が痛そうです」
ルメールが言った「速い」は、おそらく、仕掛けてからの脚はアーモンドアイのほうが速い、という意味だろう。
GI年間最多にならび、200勝も見える。
ルメールは、これが今年JRA・GI6勝目。まだいくつもJRA・GIを残しているのに、もう最多タイ記録だ。また年間勝ち鞍も177勝目と、武豊しか達成していない年間200勝にも手が届きそうなペースで来ている。
「すごくラッキーです。GIを勝ったのは全部いい馬です。ぼくの調子もとてもいい。日本ではリラックスして乗れます。調教師さんからプレッシャーがないから(笑)。200勝も行きたいです」
今週のJBC3競走でも有力な騎乗馬が控えている。快進撃はまだまだつづきそうだ。