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『ウマ娘』でスペシャルウィークvs.
サイレンススズカが実現した理由。
posted2018/10/28 09:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
(c)Cygames, Inc.
現在発売中のNumber964号『秋競馬。王者の挑戦状』では、
話題の作品を製作したプロデューサーに直撃。
その世界観の秘密を特別に全文掲載します!
“ウマの耳と尻尾を持つ少女”がターフを駆け抜ける? 主人公の名前はスペシャルウィーク?
アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』の主人公は、競走馬の魂を受け継ぐ美少女。今年4月にTVやネットで放送されると一躍話題になった。超人的な走力を持つウマ娘たちは「トレセン学園」で特訓を積んでレースに出場し、「日本一のウマ娘」を目指す。レースに勝利すれば「ウイニングライブ」と呼ばれる舞台に立つことができ、アイドル的な人気を誇る。
メインキャラクターにはゴールドシップ、ハルウララなどJRA・地方競馬の実在の競走馬の名前がつけられ、ストーリーの随所に史実が織り交ぜられている。漫画やCDもリリースされ、今冬にはスマホゲームアプリが配信予定だ。
多くの人の夢を乗せている。
「なぜ競馬と少女を結びつけたのか?」
素朴な疑問を、コンテンツプロデューサーのサイゲームス石原章弘氏にぶつけた。
「馬は騎手や調教師、オーナー、ファンそれぞれの夢を背負っています。僕も学生時代は競馬場に通っていましたし、多くの人々の馬への想いをアニメに落とし込みたかった。『夢を背負う』という世界観には『アイドル』の要素がぴったりと当てはまったので、自然と『馬を女の子に』という設定が生まれてきました」
最もこだわったのは「史実と虚構のバランス」だ。実在の競走馬の名前を使っている以上、関係者やファンの期待は裏切れない。だが史実をなぞるだけでは、アニメを作る意味がない。
「フィクションの魅力は『もしも』の世界を描けることにあります。競走馬の魂を女の子に転生させつつ、アニメとして成立するように試行錯誤を重ねました」