“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-20W杯出場権をかけた決戦の日。
最大の敵はインドネシアの大観衆!?
posted2018/10/28 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
AFLO
いよいよこの舞台まで勝ち上がってきた――。
AFC U-19選手権グループBで3連勝の首位通過を果たしたU-19日本代表は、来年ポーランドで開催されるU-20W杯の出場権をかけて、10月28日の日曜日(日本時間で21時半キックオフ)に準々決勝のインドネシア戦を迎える。
日本代表のグループリーグでの戦い方を見ていると、初戦の北朝鮮戦でこそ固さが目立ったが、複数人が絡んで崩す攻撃の質は非常に高かった。CBやボランチが積極的に縦パスを打ち込み、前線の4枚がそれを収めてから突破を仕掛けたり、サイドハーフがサイドバックと連動しながらサイドを切り崩していく。
このスタイルは、試合をこなすごとにスムーズになっていき、特に第2戦のタイ戦では左サイドハーフに入った安部裕葵が抜群のキープ力と突破力を見せつけた。安部は、サイドでゲームのイニシアチブを握ると、斉藤光毅と宮代大聖の2トップと連係して決定的な仕事をいくつもこなした。
第3戦のイラク戦は、すでに決勝トーナメント進出が決まってはいたが、非常に収穫の多い一戦となった。
見事な連係が完成した日本代表。
この試合時点で、GK若原智哉以外は全員がスタメン出場を経験することになった。フィジカルに優れるイラクを相手に、原大智と田川亨介のツートップがその高さを活かして、しっかりと前線で起点となることができた。この2人を目掛けて山田康太と藤本寛也のダブルボランチが効果的な縦パスを通し、2列目が湧き出て行く波状攻撃をかける。これが見事に効力を発揮したのだ。
10分、左MF滝裕太の先制点。27分、久保建英がスルーしたパスを、背後から飛び込んで来た田川が豪快に決めて2点目。34分には、久保から始まった連係で、今度は田川がスルーしたボールを原が冷静に決めている。
注目すべきは、この3点とも非常に連係がスムーズだった点である。こういう見事な連係の上でのゴールが、大会のわずか第3戦目で3度も見られたことは、このチームのポテンシャルの高さを十分に示すものだった。
しかも結果は5-0と、今大会初のクリーンシート。
この試合、59分には久保に代えてDF菅原由勢が入ると、後ろを3バックにした3-4-2-1システムに変更して戦ってもいる。
このイラク戦では、滝、荻原、原、田川の出来はかなり光っていたし、戦術的柔軟性も十二分に示すことができたのだ。