サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
長友佑都、台頭する若手への助言。
「とにかくビッグクラブに行けと」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/10/21 11:00
堂安律(右)らのゴールラッシュに喜びをともにした長友佑都。30代ながらいまだ若々しい。
中島、堂安、南野の台頭。
彼が主戦場にする欧州に比べると、日本はサッカー熱の上がり下がりが激しい。長い代表キャリアのなかで、熱しやすくて冷めやすい「世間」の空気を味わってきた。
大会前の世間からの冷ややかな声を吹き飛ばしたW杯ロシア大会。しかし、歴史は変えられずに終わった。「サムライブルーの善戦」を称えた声は、あっという間に次の話題にすり替わった。それは別に今大会に限った話ではない。長友自身、何度も経験してきた“風向き”だ。
だからこそ、中島がドリブルで相手を翻弄し、堂安律が軽やかなステップを踏み、南野拓実が鋭い反応を見せる。そのたびに大観衆の興奮がどんどん高まり、発散される「熱」が、単純にうれしく、楽しかったのだろう。
「上手いし速いし、もっと日本代表は面白くなる。メンバーに選ばれていなくても見に来たいと思うくらいです(笑)。若い選手がこれだけの勢いでやってくれていると、サッカー熱もまた盛り上がっていくと感じます。そういうところも嬉しいですね。
ひとりの選手としてだけでなく、たとえば、代表監督、サッカー協会会長、ファンの方々の目線を持って、今後の日本代表を見たいという気持ちが、今の僕にはあります。そういうふうに客観的な目で日本代表を見ることができれば、プレーや後輩たちとの接し方も変わってくると思うんです」
俺は身体を張れないと……。
長谷部誠という長く日本代表のオピニオンリーダーを務めた選手が、代表引退を表明した。新しい日本代表で、長友自身が担うべき責任や仕事の質や量も変わっていく。そんな立場の変化を自覚しているからこその想いだった。
「この巧さと技術を持つ若い選手を見ていると、俺は身体を張れないと代表には残れない、次は呼ばれないなと思って、熱いプレーをしました。危機感だらけです。
クラブで試合に出られない、少しでもパフォーマンスが悪くなれば、『長友さよなら』ってなりますから。そうならないようにやっていきたい。なんか久しぶりに若いときのギラギラ感を味わっているというか、若い彼らからそういう熱を与えてもらっています」
いち選手としては、競争の真っ只中で、気を許すこともできない。
「1対1や空中戦などでは、以前よりも伸びている。経験を活かした駆け引きもできるようになったし、このままレベルアップして、新しい長友佑都を見せられるように頑張りたい」と胸を張った。