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NBA歴代最強の3ポイントシューター、
レイ・アレンが教えてくれた極意。
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byWataru Sato
posted2018/10/22 10:30
3人制バスケのイベントに参加したレイ・アレン。次の来日ではゴルフや、ゆっくり観光してみたいとも。
若手時代の意外なシュート観。
試合の映像を見てみると、レイは確かに3ポイントライン周辺にポジショニングしているものの、あまりそれを打つチャンスに恵まれていない。決めた3ポイントは1本だけだった。
レイは若かりし頃のシュート観について、こう振り返る。
「実は当時は3ポイントを打つのがあまり好きじゃなかったんだ。とにかく遠いし、いつもゴールに向かって攻めることを考えていた。ただ対戦相手は私のスリーを警戒しているのはわかっていたから、逆にそれを利用してインサイドを攻めるようにしていた。
スリーを打つと思わせて、中に攻めるんだ。中で打つほうがよっぽど楽だし、近いほど成功率も高くなるからね」
3ポイントは勝利への一手段。
象徴的なエピソードがある。NBA初年度、レイは82試合に出場し、1試合平均13.4得点を挙げている。うち、3ポイントは1.4本。初出場したオールスターゲームでは、3ポイントコンテストでなくスラムダンクコンテストに出場しているのだ。
「私の3ポイントの試投数は1試合平均で5本程度(レギュラーシーズンのキャリア通算平均は5.7本)だったと思うけど、最もシュートを打っていたシーズンのフィールドゴール試投数は20本ほど(2006-07のレギュラーシーズンのフィールドゴール試投数が平均21.0本)だった。
スリーを打てる体制を作った上で、ペイントエリアに切り込んでバンクショットを打つとか、そういったシュートのほうが多い。3ポイントを打てることは大切だが、それだけに固執しないように気をつけていたんだ」
2001年の3ポイントコンテストで優勝し、2005-06シーズンには269本の3ポイントを決めてNBA記録を10年ぶりに更新。シューターとしての地位を確立してからは「シュートを決めることよりも、シュートを打てるポジションにいるということが最大の武器になっていた」と言う。
レイにとっての3ポイントは、得点を決める、ひいてはチームの勝利に貢献するための一手段だった。