バスケットボールPRESSBACK NUMBER
NBA歴代最強の3ポイントシューター、
レイ・アレンが教えてくれた極意。
posted2018/10/22 10:30
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph by
Wataru Sato
10月11日、シャングリ・ラ ホテル東京の一室にレイ・アレンはいた。
NBAで18シーズンプレーし、2度の優勝、10回のオールスター選出。そして何より燦然と輝く、歴代最多となる通算2973本の3ポイントシュート。その功績が認められ、今年9月にバスケットボール殿堂入りも果たした稀代のシューターはこの日、早朝から多くのメディア取材を受けていた。我々の前にはわずかばかりの休憩時間が設けられていたが、彼はそれを断り、穏やかな表情で我々を迎え入れた。
シューターの手は、多くのことを物語る。
シュートの成功には足の踏み込み、ボディバランス、フォームなど様々な要素がからみ合うが、最後にボールをコントロールするのは当然手であり、指であり、指先だからだ。シューターに自身の手や指について聞いてみると、それぞれのシュートに対するこだわりがよく見えてくるような気がする。
マニキュアは必ず塗っていた。
Bリーグを例に挙げると、折茂武彦(レバンガ北海道)は中指の爪をかなり長めに整え、爪で最後にボールをコントロールする。岡田優介(京都ハンナリーズ)や金丸晃輔(シーホース三河)のようにネイルサロンでケアをする選手がいる一方で、川村卓也(横浜ビー・コルセアーズ)のように頓着しないという選手もいる。
「現役時代、手や指のケアを行なっていましたか?」
そう尋ねると、レイは何も言わずにその両手をテーブルの上に載せた。骨ばった手、ごく短く切られた爪、厚く塗られたクリアジェル。今回の滞在スケジュールにシューティング対決のイベントが組み込まれていたため、幸運にも現役仕様だったのだ。
我々がひとしきり眺め終わるのを見計らい、レイは話し始めた。
「マニキュアは必ず塗っていた。爪が長くなりすぎるとシュートを打つときにボールが引っかかる可能性がある。そこでささくれができてしまうと、痛みがボールキャッチに影響してしまい、指先も痛めてしまうからだ。プレーしたほとんどの街のネイルサロンに通ったね。妻がいち早く見つけて、教えてくれるんだ」