スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
中央大「涙のスピーチ」から2年。
箱根予選会で感じた前向きな気配。
posted2018/10/18 16:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Yuki Suenaga
1年生主将だった舟津彰馬が「涙のスピーチ」をしてから2年。
2016年、中央大は箱根駅伝予選会で落選、あのとき彼の言葉を聞いていた中大の関係者の表情からは「憔悴」、「悲壮」、「落胆」といった悲しみにまつわるあらゆる言葉が浮かんできたほどだった。
しかも今年は全日本大学駅伝の予選会で主将の関口康平が途中棄権し、出場を逃している。
「予選会」は中大にとってまさに鬼門。箱根の予選会に向けて、多少なりとも危機感はあっただろう。
しかし今年の10月13日に東京・立川で行われた箱根駅伝予選会、中大は8位で通過し本戦に駒を進めた。
走り終えた選手たち、関係者を見ていると安堵の表情が目についたが、「そろそろ箱根で結果を出さないと」という危機感の方がまさっているように思えた。
中大の2番手は駒大なら10番手。
たしかに、予選会での8位という順位の評価は難しい。
トップ通過の駒澤大学は、上位10人の合計タイムが10時間29分58秒。中大のタイムは10時間42分55秒で、12分57秒もの差がある。ひとりあたりに計算し直してみると、77秒7の差があり、1分以上の大差がついている。これはなかなか厳しい数字だ。
両校の差はなにか?
タイムを見ていくと、チームトップの選手にはさほど差はない。駒大の片西景は1時間01分50秒、中大の堀尾謙介は1時間01分57秒である。
大きな差がつくのは2番手以降で、駒大は1時間2分台が2人、10番手の選手が1時間03分22秒でおさまっている。
対して中大はチーム内2位の中山顕が1時間03分20秒で、このタイムはちょうど駒大の10番手に相当する。10位の二井康介は1時間05分45秒で全体の186位。エース級はともかく、全体の底上げがシード権獲得のためには絶対に欠かせない。