スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ブルペンの腕比べと一発勝負。
ドジャースとブルワーズの優劣は?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2018/10/13 07:00
短期決戦においてブルペンの力は勝敗に大きく影響する。前田健太はドジャースに流れを引き寄せられるか。
ドジャースのブルペンの調子も上向き。
対するドジャース(9月時点で年俸総額1億9647万ドル。大リーグ3位)のブルペンはどうだろうか。
8月初めに不整脈で戦列を離れた抑えの切り札ケンリー・ジャンセンは、8月20日に実戦復帰した。ただ、月末までの約10日間では、5試合に登板して防御率12.60、被本塁打4とさんざん打ち込まれている。前田健太が配置転換でブルペンにまわったのは8月14日以降で、ベンチの狼狽ぶりは察しがつく。
8月10日から22日にかけては、チームも3勝9敗の不調にあえいだ。
そんなドジャースが復活したのは、やはりジャンセンが調子を取り戻してからだろう。9月1日~10月1日のジャンセンは13試合に登板し、12回3分の1を投げて防御率2.92。絶好調とはいいがたいが、6回以降をペドロ・バエス、前田健太、ケイレブ・ファーガソン、スコット・アレクサンダーらでつなぎ、9回をジャンセンに託すという勝利の方程式は、この時期にほぼ再建されたと見てよいのではないか。
シーズン中はドジャースが優位だったが。
DSに限っていうと、ドジャースのブルペンは防御率0.84の成績を残している。ブルワーズは1.17。ほぼ互角の数字だが、ドジャースのデイヴ・ロバーツ監督が(打者との相性を考慮して)頻繁な投手交代を躊躇しないのに対して、ブルワーズのクレイグ・カウンシル監督はいったんマウンドを任せるとじっくり構え、イニングを跨いで投げさせることが珍しくない。
一般的にはロバーツ采配のほうが短期決戦にふさわしい感じだが、これだけ力が接近していると、そうとは断言できない。最後は、試合終盤の一発勝負になる可能性もかなり高い。
レギュラーシーズンの直接対決を振り返ると、ドジャースの4勝3敗という結果が残っている。打率(2割8分3厘対2割3分5厘)、本塁打数(14本対5本)、打点数(46対21)などは、いずれもドジャースが上回る。そもそも、ナ・リーグで最も本塁打数の多いドジャース打線を、ブルワーズのブルペンは封じられるのだろうか。