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ブルペンの腕比べと一発勝負。
ドジャースとブルワーズの優劣は?
posted2018/10/13 07:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
ポストシーズンが折り返し点を通過した。思ったよりも順当な展開で、波瀾といえば、ナ・リーグのワイルドカードでカブスがロッキーズに敗退したことぐらいだろうか。その結果、楽になったブルワーズがNLDS(ナ・リーグ地区シリーズ)を無傷で突破し、NLCS(ナ・リーグ優勝決定戦)ではドジャースと対戦することになった。これは予想がむずかしい。
ア・リーグでは予想どおり、アストロズとレッドソックスがALCS(ア・リーグ優勝決定戦)でぶつかり合うことになった。両チームとも抜群の破壊力を誇るだけに、ダイナミックな試合展開が期待されるが、そういうときこそ意外に僅差の勝負になるケースが少なくない。となると、先発・ブルペンともに層の厚いアストロズがやはり優位に立つ。
話をナ・リーグに戻そう。ブルワーズは、今季ポストシーズンの台風の目だ。大リーグで下から9番目に年俸総額の低い(2018年9月時点で1億700万ドル)地味な球団が、辛抱強い育成と頭を使った補強(今季は、クリスチャン・イェリッチやロレンゾ・ケインやマイク・ムスタカスが戦力に加わった)でチーム力を着実に高め、無視しがたい惑星に躍り出た。2014~15年のロイヤルズにかなり似ている。
3枚の抑え投手はブルワーズの宝。
勝負強い打線もブルワーズの魅力だが、最大の強みはブルペンの充実だ。
ブルワーズには、抑え投手が3枚存在する。レギュラーシーズンの成績を見るとわかるが、コーリー・クネーベルが16セーヴ、ジェレミー・ジェフレスが15セーヴ、ジョシュ・ヘイダーが12セーヴの成績を残している。これは、絶対的な切り札がいないという意味ではない。調子や相性や流れによって、その都度、3人のうち最適の投手を抑えに持ってきたことの証明だろう。
シーズンを通しての安定感でいえば、8勝1敗、防御率1.29のジェフレスが一番だが、最も眼を惹くのは、今季81回3分の1を投げて143三振を奪ったヘイダーの左腕だ。9月こそやや打ち込まれる傾向があったものの、DS3試合でのヘイダーは2回3分の1を投げて0失点、4奪三振と、明らかに調子を取り戻している。
さらに注目すべきはクネーベルだ。8月末までの防御率は5.08だったが、9月2日以降はポストシーズンまで含めて19試合(19回3分の1)連続無失点をつづけている。絶好調だった2017年の状態(76試合に投げて39セーヴ、防御率1.78)に戻ったと見るべきで、ドジャース打線も手を焼くにちがいない。