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340円のコンビニ弁当を分け合って。
流経大ラグビー韓国人コーチの大志。

posted2018/10/15 10:30

 
340円のコンビニ弁当を分け合って。流経大ラグビー韓国人コーチの大志。<Number Web> photograph by Masataka Tara

左が池英基さん、右が内山達二監督。国を越えた師弟関係が彼らにある。

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多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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Masataka Tara

 名誉より恩義だ。

 流通経済大学ラグビー部のヘッドコーチ、韓国出身の池英基(チ・ヨンギ)さん。同部を2005年から率いる内山達二監督を「私の神様」と敬っている。

「私が成長できたのは内山(達二)監督、流経大のおかげです。韓国代表の15人制も7人制も(コーチで)毎年呼ばれていますが、ちゃんと礼儀を通して断っています。周りから見たら馬鹿じゃないかと言われるかもしれないです。でも、流経大が私の母校だと思っていますし、いまはRKU(流経大の愛称)を勝たせることを考えています」

 池さんは1982年、韓国中部の清州に生まれた。檀國大学4年のときにラグビー韓国代表に選出。のちに代表12キャップを重ねた身長187cm、体重105kgの大型フルバックだった。

 大学卒業後の2年間は、韓国軍のスポーツ部隊「尚武(サンム)」に所属。その後はコーチとしての将来も視野に入れ、ニュージーランド・ウェリントンのクラブで2年間プレーした。

結婚式翌日には日本へ飛んだ。

 日本行きのきっかけは、流経大・内山監督との縁だ。

 内山監督は2009年、入学希望の韓国出身選手の両親に会うために韓国を訪れていた。入学する選手の両親とは必ず会う。それが内山監督のポリシーだ。

「韓国人学生の入部希望があって、韓国に行きました。そのときの通訳が彼(池さん)の奥さん。韓国の方なんだけど日本語がペラペラで、『実はうちの夫がラグビー選手なんですけど、日本でプレーする機会ありませんか』と」

 ニュージーランドで知り合った韓国出身の夫人、イ・ジョンユンさんは、大学時代に日本語を専攻していた日本フリーク。その夫人を介して内山監督と出会った池さんは、まず選手としての挑戦を決意。2009年11月21日に結婚式を挙げ、なんとその翌日に日本へ飛んだ。

 それからは短期滞在で日本と韓国を往復しながら、トライアウトを受けるなど、選手としての道を模索。しかし当時少なかった外国人枠を使い、29歳の池さんを獲得するチームは現れなかった。

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