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340円のコンビニ弁当を分け合って。
流経大ラグビー韓国人コーチの大志。 

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多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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photograph byMasataka Tara

posted2018/10/15 10:30

340円のコンビニ弁当を分け合って。流経大ラグビー韓国人コーチの大志。<Number Web> photograph by Masataka Tara

左が池英基さん、右が内山達二監督。国を越えた師弟関係が彼らにある。

エディーと渡り合った大善戦。

 現場指揮を執ったのは、日本、香港、韓国が参加する「アジア・ラグビー・チャンピオンシップ(ARC)」。池さんは徹底的に日本代表を分析した。

「日本代表の選手1人ひとりの強み、弱みを見つけて、韓国が過去に負けた試合も分析しました」

 すると韓国代表はARCの初戦、その年のW杯で南アフリカを撃破する「エディー・ジャパン」に大善戦する。最終スコアは30-56だが、前半のスコアは2点差(20-22)。当時のエディー・ジョーンズ日本代表HCは激高した。

 あのとき韓国代表に戦い方を授けていたのは、他ならぬ池さんだった。だからこそ、それから韓国代表は池さんにラブコールを送り続けている。しかし、池さんは茨城・龍ケ崎に戻った。

国境、人種、宗教も越えてこそ。

 韓国人である池さんが、流経大のヘッドコーチとして若者を指導する――。そのことに大きな意味があると、内山監督は信じている。

「ラグビーは国境も人種も越える。宗教も越える。来年のラグビーワールドカップ(日本大会)を迎えるなかで、こういうことをスポーツを通して形にしていける。それが教育機関としての幅なのかなと思いながらやっています」

 内山監督は、ラグビーに関わっている人は「ラグビー人」でしょう、と付け加える。ラグビーを取り巻く人びとは国境も人種も宗教も越えた、ラグビー人なのだと。

 池さんは昨年ヘッドコーチに昇格した。今年は若いチームだから、まだまだ伸びしろがあると目を輝かせる。

「私は結果がすべてだと思っています。内山監督が『なんで彼をヘッドコーチにしたの』と言われたときに、『実力があるからだよ』と自信をもって他の人に言えるような状況、環境を作らないといけないです。私を選んで頂いた恩を返さないと」

 いつか韓国ラグビーを日本のように発展させたい――。そんな大志はあるが、その前にやることがある。

 まだまだ、道はなかば。しかしドン底だった2010年のあの日、夫婦で分け合った340円のコンビニ弁当のことは、今ではすっかり笑い合えるようになっている。

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