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鬼木フロンターレは隙を排除する。
ボール奪取で等々力劇場に響く拍手。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/10/04 11:00
長崎戦は2-1のスコア以上の完勝だった。それでも満足しない様子に、川崎フロンターレの志が見えてくる。
守備でも魅せる等々力劇場に。
そんな「守備でも魅せる等々力劇場」は、指揮官が目指していた光景でもある。ある日、最近の等々力のこの反応について尋ねると、「それは自分としては喜ばしいこと」として、言葉を続けた。
「選手にもそういう伝え方をしています。みんなが(ボールを)追っているシーンで歓声が沸いているし、そういうのをサポーターもわかっている。より力になるし、戦う気にもなる。それをスタジアム全体で感じられるのは重要ですね。だからこそ、等々力というのが、すごく大事」
鬼木フロンターレは、優れたボール保持によるポゼッション一辺倒でもなければ、鋭い反撃によるカウンター一本槍で戦うチームでもない。それらを使い分けながらも、ボールを取り上げられたら、守備の強度を高めることで、主導権を奪い返す戦い方ができるチームだ。
歴代のフロンターレにない色を。
そしてそのときに見せる守備の凄みに、サポーターも惜しみなく拍手を送っている。このことは、これまで優勝争いをしてきた歴代のフロンターレにはない、鬼木監督が積み上げた色だ。そして、守備の局面でも大合唱が響くようになれば、鬼木フロンターレは、ますます「隙のないチーム」になっていくに違いない。
半年ぶりの首位を奪還した長崎戦後の監督会見、指揮官は最後にこう言い切った。
「自分達が思い描いているところに来ているわけですから、あとは突き進むだけだと思っています」
残り6試合。鬼木フロンターレが、隙の見せない走りで、連覇へのラストスパートに入った。