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鬼木フロンターレは隙を排除する。
ボール奪取で等々力劇場に響く拍手。
posted2018/10/04 11:00
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
J.LEAGUE
先週末のJ1リーグ第28節・V・ファーレン長崎戦。この試合開始前にゲームを行った首位のサンフレッチェ広島が敗れたことは、鬼木達監督からも選手に伝えられていた。そして「勝てば首位」という条件で始まった敵地での一戦を、ほぼ完璧なゲームを演じて勝ち切っている。
5月時点では最大で勝ち点13差を開けられていた広島と、ついに勝ち点で並び、得失点差で上回って、昨年の覇者・川崎フロンターレがついに首位に浮上した。
……にもかかわらず、試合終了直後の選手たちに笑顔は多くなかった。むしろ負けたかのような厳しい表情に見えたほどである。
理由は明確だ。
最後の最後で、相手のパワープレーから失点を喫したからである。勝ち点3を持ち帰ることには成功したものの、ゲームの終わらせ方には隙を見せてしまった。試合後、ミックスゾーンに現れたエウシーニョも、コメントを反省の言葉で締めている。
「勝たないといけないとわかっていましたし、結果も取れたことはすごく嬉しいですが、最後の最後で失点したというのは残念に思います」
憲剛が話した「戒めの1点」。
試合内容に目を向けると、前半は圧倒的にボールを保持して攻め続けた。最下位・長崎との力の差を示すハーフコートゲームを展開し、2点のリードを奪っている。後半は、中2日の影響で運動量が落ちて後手を踏んだが、最後の局面は食い止めるという守り方で受け流した。
そんな盤石の試合運びでタイムアップを迎えるはずが、最後に水を漏らしてしまったのである。試合後の中村憲剛が、「戒めの1点」と形容したのは印象的だった。
「(失点場面は)誰がどうとかではなく、あそこは前に(ロングボールを)蹴らしてはいけなかった。後ろも跳ね返さないといけないし、自分もサンドしないといけなかったかもしれない。もっとやらなくてはいけない。そういう戒めの1点だった」