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「あーっ、ムカつく!」から7年。
西武・秋山翔吾はリーダーになった。
posted2018/10/01 11:45
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
「あーっ、ムカつく!」
室内練習場に姿を見せたルーキーの秋山翔吾がすれ違い様に吐き捨てる。2011年10月1日の出来事だ。
つい数十分前には、西武ドームでソフトバンクホークスのリーグ優勝が決まり、その熱気がまだ隣接するドームからは漂っていた。胴上げを目の前で見せられたライオンズの選手たちは一様に悔しそうだったが、バットを持ち、ドームから室内練習場にやって来た秋山は中でも一際厳しい表情で、そのまま数十分、マシンを相手にバットを振り続けた。
決して誉められた表現ではないが、「ムカつく」という一言に秋山の心情が表れていた。
今では野球ファンにも広く知られている秋山の人間性や、実直な性格を思えば、優等生の彼がそのような荒い言葉を使うほど、目の前で相手に優勝を決められるのは屈辱を感じる出来事だったのだろう。
数年後、その話を本人にすると「僕、そんなこと言ってましたか。生意気な新人ですね」と笑った。
頼もしいチームリーダーに……。
ルーキーだった2011年、秋山は八戸大学から西武に入団し、110試合に出場。2割3分2厘の打率でシーズンを終えている。「ムカつく」とつぶやいていた選手が7年後、これほどまでに頼もしいチームリーダーに成長するとは、申し訳ないが当時は思っていなかった。
2018年9月30日、マジック1で札幌に乗り込んだライオンズは、試合には敗れたもののマジック対象チームであるソフトバンクの敗戦によって2008年以来、10年ぶりとなるリーグ優勝を決めた。
46本塁打を放った山川穂高や120打点を記録した浅村栄斗、堅実な守備で幾度もチームを救った源田壮亮などヒーローは大勢いるが、やはりシーズン通してチームを引っ張った秋山を一番の功労者と称えていいだろう。