“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-17W杯出場をかけた運命の一戦!
“02ジャパン”と森山監督の正念場。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/09/28 17:30
U-16日本代表の選手たち。試合中継は、CSテレ朝チャンネルで30日(日)の17時25分からライブ放映される。
グループトップの成績とはいえ……。
グループリーグは、結果だけ見れば2勝1分けの1位通過と盤石のように映るが、その内容はかなりの綱渡りで、アクシデントの連続だった。
初戦のタイ戦。豪雨の中の劣悪なピッチコンディションでの戦いが影響してか、選手達は立ち上がりから何度も足を滑らせてしまい、苦闘を強いられた。
「あり得ないことが起こるのがアジア。日本でずっとサッカーをしていたら、アジアで起こることを体験することは、同時に想像を上回ることを体験すること。本当にあり得ないことが起こるんです」
アジアの戦いを知り尽くした森山監督が鳴らしていた警鐘が、いきなり的中してしまった。
タイ代表相手に初っ端から「アジアの洗礼」を受ける中で、開始早々の2分に失点を食らう苦しい展開からスタート。
7分にFW荒木遼太郎(東福岡高)のゴールですかさず追いつくと、その2分後には荒木のラストパスをMF近藤蔵波(セレッソ大阪U-18)が押し込んで逆転に成功した。だが、そこから雨に濡れたピッチに苦しみ、15分には再び失点を許して2-2の同点に。前半開始15分にして、シーソーゲームの様相を呈していた。
だが、そこから選手達が意地を見せた。
35分に荒木がMF成岡輝瑠(清水エスパルスユース)のクロスをヘッドで合わせて勝ち越しゴールを挙げると、さらに42分にはキャプテンのDF半田陸(モンテディオ山形ユース)がセットプレーのこぼれ球を蹴り込んで4-2。後半終了直前にも追加点を挙げて、初戦を勝利で飾ったのである。
天候による急なスケジュール変更。
第2戦で当たったタジキスタン代表は、初戦で開催国のマレーシアに2-6と大敗しており、グループリーグで一番力が劣ると思われていた。この試合でスタメンを初戦から7人入れ替え、前半から圧倒的に攻め込むが、最後までゴールをこじ開けることができないまま0-0というまさかのドロー決着。
これによりマレーシアとの最終戦は、引き分け以上でグループリーグ突破が決まるが、万が一、敗れてしまうとグループリーグ敗退が決まる可能性が高い(他の試合の結果も影響するが)、雌雄を決する一戦となってしまった。
しかもこの一戦は9月26日に行われる予定だったが、東南アジア特有の激しい雨と雷、変わりやすい天候もあり、まずキックオフが遅れるというアクシデントとなった。
既にスタジアム入りし、いつ試合が始まってもいいように待機をしていた日本代表だが、もうひとつの会場も雷雨がひどく、結局この日は試合中止。翌日の11時(現地時間)キックオフへと急遽変更になってしまったのだ。