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メッシも監督もいないけれど――。
失意のアルゼンチン代表が再出発。
text by
藤坂ガルシア千鶴Chizuru de Garcia
photograph byUniphoto press
posted2018/10/01 07:00
アルゼンチンの未来を背負うべきディバラ。ロシアW杯ではメッシと共存できなかったが、そろそろ本領を発揮したいところだ。
ペケルマン再任には大きな壁が。
8月31日をもってコロンビア代表との契約が満了となり、9月4日に行なわれた会見で正式に退任を発表したホセ・ペケルマンが最有力候補だと見る人もいるが、一度はAFA(アルゼンチンサッカー協会)から事実上迫害される形でアルゼンチン代表を出て行ったホセが、当時からほとんど変わっていない組織に戻るのは、よほどの条件が伴わない限り不可能に近い。
AFAのクラウディオ・タピア会長はすでに、新監督の決定は12月以降になること、代表チームの強化計画は2028年までの長期プロジェクトとなることなどを明らかにしているが、話の内容は理想を述べるばかりで具体性に欠けており、現時点で明確な見通しはない。
それでも代表チームは11月までの3カ月間に6つの親善試合を消化しなければならず、うち1試合は宿敵ブラジルとの南米クラシコが予定されている。チーム再建のため絶好の機会となるこれらのゲームを、無駄にすることは許されない。
代行を任されたスカローニ。
このような状況下で監督代行を任されているのが、ロシアW杯までサンパオリのアシスタント役を務めていたリオネル・スカローニである。
スカローニは現役時代、ペケルマン・ボーイズのひとりとしてU-20代表でプレーし、'97年のU-20W杯優勝を経験している。'98年からプレーしたスペインのデポルティーボ・ラコルーニャでDFとして鍛錬し、A代表として'06年W杯にも出場した経歴を持っている。日本のサッカーファンの間でも馴染みのある名前だろう。
W杯後にサンパオリが退任してからU-20代表監督に就任していたが、後任が決まるまでA代表の指揮も兼任することとなった。
ロシアから帰国すると、休む間もなくユース代表の仕事に取り掛かり、U-17代表監督のパブロ・アイマールと組んで、7月末から8月上旬にかけてスペインで開催されたアルクディア国際ユース大会でアルゼンチンU-20代表を優勝に導いた。
その後、親善試合のためにA代表メンバーを選んでチーム作りに着手。グアテマラには3-0と快勝し、ほぼベスト布陣のコロンビア相手にも充実したゲームプランで0-0と引き分けて、手応えを感じさせた。