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クリンチャー&武豊、仏での前哨戦。
「あくまで凱旋門賞が本番なので」
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2018/09/21 16:30
9月16日、フランスでフォワ賞に出走したクリンチャーと武豊。
「あくまでも凱旋門賞が本番」
ところが厳しい現実が待っていた。
スタートして少ししてから先頭に立ったクリンチャーは、直線へ向くまで他の5頭を引っ張って走ったが、ラスト300mで捉まると、後はしのぐ力が残っていなかった。結果、勝ったバルトガイストから約8馬身放された6着に沈んだ。
「相手が強かったとはいえ残念な結果になってしまいました。次の凱旋門賞へ向け、もう1度、びっしりと仕上げ直します」
指揮官の宮本は悔しさを隠さぬ表情でそう言った。
また、武豊も悔しそうに口を開いた。
「ん~、残念。最後はいっぱいになってしまいました」
しかし、続く言葉は決して悲観的ではなかった。
「あくまでも凱旋門賞が本番なので、今回はオーバーワークだけは避けたいという状態での仕上げでした。だから少し馬体に余裕があったかもしれません。それを考慮すれば、結果の着順自体は気にする必要はないと思います。パリロンシャン競馬場の芝も問題なく走っていたし、本番ではきっと巻き返してくれると信じたいです」
9月12~16日にフランスで走った日本馬4頭はいずれも惨敗に終わってしまった。しかしひと昔前を思えば、これだけ沢山の馬が重賞ばかりでなく条件戦にまで出走を果たしただけでも、日本競馬の世界進出が当たり前になった事が分かる。
10月7日の凱旋門賞に挑戦するクリンチャーだけでなく、ジェニアルは同日同競馬場で行われるフォレ賞(GI、芝1400m)に、ラルクも同じ週に出走するプランがあるようだ。
今回は残念な結果ではあったが、敗戦の悔しさを癒してくれるのは、再び挑み、勝利する道しかない。各陣営、各馬の今後のヨーロッパでの走りに引き続き注目していきたい。