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内田篤人が体現する「鹿島らしさ」。
ACLでも輝いた巨大な存在感。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/09/19 18:00

内田篤人が体現する「鹿島らしさ」。ACLでも輝いた巨大な存在感。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

内田篤人は、鹿島アントラーズの魂を次世代につなぐ重要な存在だ。自らその役割を任じるところに彼の非凡さがある。

小笠原に突き返されたキャプテンマーク。

 試合は左サイドバックの山本脩斗が2点を決めて、2-0でハーフタイムを迎えた。しかし、51分にPKを決められてしまう。その直後、センターサークルにボールが置かれるまでのわずかな時間に、鹿島の選手が内田を中心に集まっていた。

「どうしても受け身に入ってしまうから、PKのあとに全員を集めて『2-2でもいいんだから。普通にやろう。ここは我慢しなくちゃダメだ』と伝えた」

 長短のパスを繋ぎ、周囲と連動して動きまわり、ボールを保持する川崎の攻撃を何度も何度も跳ね返し続けた。72分に追加点が決まって3-1になったあとも粘り強く戦った。

 内田はその中心で、泥臭く身体を張って守備をしていた。そして、チームは準決勝進出を決めた。

「(小笠原)満男さんだったり、(中田)浩二さんだったり、いろんな人がアントラーズの伝統というか、戦う姿を見せてくれた。教えてくれる選手がいた。せっかくこのチームに戻ってきたんだから、自分が見て学んだことは伝えたいし、表現しなければもったいない。

 それをここでやるのは、俺を獲得してくれたクラブの決断理由のひとつだと思うし、自分がやらなくちゃいけない仕事だと思っている。こういう難しいゲームでも鹿島らしさというのを示さなくちゃいけない。ただ俺が鹿島で見てきたプレーをそのままやっているだけですよ」

 この試合で内田は、59分で交代した遠藤からキャプテンマークを渡された。89分、セルジーニョと交代でピッチに入る小笠原満男に渡そうとセルジーニョにキャプテンマークを託したが、それを受け取った小笠原はピッチに入るとすぐさま内田の元へ行き、キャプテンマークを返した。

「お前がつけろと言われた。リーダーシップを持った選手は他にもいるし、誰がつけてもいいと思っている」と内田はサラリと話す。しかし、内田に手渡したキャプテンマークには、小笠原のいろいろな想いが込められているのだろうと感じる印象的なシーンだった。

「中2日、3日でやれる身体に」

 ACL2戦にルヴァンカップ1戦で先発フル出場を果たし、3連勝と結果を残した。コンディションも良好で、内田の手ごたえも大きいのではないだろうか。

「もちろんそういうつもりで帰ってきたし、ドイツでやっていたんで、今更できたなぁとは思わない。中2日、3日でバンバン試合をやれる身体に持っていくまでは、復帰とは思っていない。

 今は週1で剛さんがタイミングみながら、こういう大事な試合でボンと使ってくれている。そういうポイントで出させてもらっているので、結果は出したい。普通の選手じゃいけないと思っているし、自分が出る意味というのをしっかりと示していきたい」

【次ページ】 ACLに跳ね返されてきた鹿島で勝つ。

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