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内田篤人が体現する「鹿島らしさ」。
ACLでも輝いた巨大な存在感。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/09/19 18:00

内田篤人が体現する「鹿島らしさ」。ACLでも輝いた巨大な存在感。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

内田篤人は、鹿島アントラーズの魂を次世代につなぐ重要な存在だ。自らその役割を任じるところに彼の非凡さがある。

7月にはまだ万全ではなかった。

 7月28日に先発したガンバ大阪とのリーグ戦では、まだまだコンディション的には万全ではないと話していた。長期離脱の影響との戦いはまだ終わっていなかった。

「DFなので、相手のターンとかフェイントに合わせなくちゃいけない。そこで大事なのがコンディション。練習をさぼらずにちゃんとやってきたから、できたのかなと思う。ターンもできるようになってきたし、今日もジャンプを高く飛べたから。一番怖いのは着地なんだけどね。自分のなかで少し、前に進んでいる感じがある」

 そこからの1カ月、ベンチ入りしても出場はわずかという状況だったが、いつ練習をのぞいても内田がグラウンドで気持ちよく汗を流しているのが印象的だった。

 そして満を持して迎えたのが、8月28日ACL準々決勝天津戦での先発だった。約4カ月ぶりのフル出場で勝利を飾った。

「こっちは普通にやればいい」

 この試合以降、リーグやルヴァンカップでもベンチ入りを続けて、9月9日にルヴァンカップ準々決勝セカンドレグの川崎戦を迎える。

 ホームでのファーストレグを1-1で終えた鹿島だったが、消極的な空気がチームに漂い、相手の決定力の無さに救われたドローだった。川崎との相性は決してよくない。

「難しいゲームは向こうなんだから、こっちは普通にやればいい」

 キックオフ直前、円陣を組むチームメイトに内田はそう訴えた。アウェイゴールのルールを考えれば、鹿島が1点取ればそれは相手に重くのしかかる。だからこそ難しいのは川崎であって、自分たちではないと。

「1戦目は俺が思うに、DFラインがフワッとしていた。だから、今日は俺がそこをしっかりと締めたいと考えていた。川崎にはボールはどうしても回される。3人目の動きの質も高い、そういうスタイルのチームだから、我慢が重要だと。

 1戦目は、真ん中の2枚がどっしりと構えているという雰囲気がなかった。先発したわんちゃん(犬飼智也)やマチ(町田浩樹)には、(大岩)剛さんや岩政(大樹)さんみたいに経験がたくさんあるわけじゃないけれど、鹿島のCBってJリーグのほかのチームとは違うと思うんだよね、俺は。だからふたりのCBを助けたい。DFラインをしっかり締めることを考えた」

【次ページ】 小笠原に突き返されたキャプテンマーク。

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