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さらば“我らが同期”の村田修一!
引退セレモニーを見る、栃木の旅。 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byYasutaka Nakamizo

posted2018/09/18 07:00

さらば“我らが同期”の村田修一!引退セレモニーを見る、栃木の旅。<Number Web> photograph by Yasutaka Nakamizo

この引退記念の村田修一ボブルヘッド人形は……一生部屋に飾り続けます!

あわや代名詞の「芸術的ゲッツー」に!?

 そして、村田さんは第4打席で見事なセンター前ヒットを放つ。

 これが今季栃木で打った72本目のヒットであり、現役最後の1本になった。

 最終打席の9回無死一塁の場面では、あわや代名詞の芸術的ゲッツーの一ゴロ。観衆はその姿に思わず、「ムラタ~ッ!」と絶叫する。東京ドームで背番号25の背中に、いったい自分はこれまで何度「ムラタ~ッ!」と叫んだのだろうか。

 個人的に人生で最も東京ドームへ通った時期は2012年から2014年にかけてだ。年間60試合近く現地観戦したと思う。当時、巨人の三塁を毎日守っていたのは村田修一で、エース的存在が杉内俊哉だった。通算142勝左腕と通算360本塁打の大砲、2人の'80年生まれのFA移籍組。そんな男たちを“同世代の転職経験者”と勝手に応援してきたが、奇しくもその杉内も近年は怪我に悩まされ9月12日に現役引退を表明。ともにキャリアの最後はハッピーエンドとはいかなかったかもしれない。それでも、本当に感謝している。だって、野球ファンは彼らのおかげで、そのプレーから明日も生きる元気をもらったわけだから。

 あの頃が楽しかったのかは分からない。けど、少なくとも球場で村田さんのかっ飛ばすホームランや、意外に軽快なジャンピングスローを見ているときはいつも笑えていた気がするよ。

小山市長、大矢明彦、坂本勇人らの言葉が。

 試合は8対8の時間切れ引き分けで終わり。

 そのままセレモニーへ。

 今季最終戦、この日はチームにとってもこのナインで戦う最後の試合だ。村田さん以外にも、今日で野球人生にピリオドを打つ選手もいるだろう。そんな湿っぽい雰囲気の中、登場した小山市長さんが感極まって、何を言ってるのか全然分からないスピーチをかましてスタンドの緊張を和らげ、横浜時代の恩師・大矢明彦氏が来場して惜別の言葉を送り、巨人時代によく食事に行っていた坂本勇人からのメッセージも流れた。

 村田さんは挨拶の中で家族への感謝を述べ、「今日をもって私は……現役を引退します」と正式に今季限りでの現役引退を表明。

 ついにその時が来た。

【次ページ】 「男・村田修一の野球に心からの敬意を」

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