ぶら野球BACK NUMBER
さらば“我らが同期”の村田修一!
引退セレモニーを見る、栃木の旅。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2018/09/18 07:00
この引退記念の村田修一ボブルヘッド人形は……一生部屋に飾り続けます!
生まれ育った田舎町の風景を思い出す。
バスの窓で流れる街並を見ながら、神奈川出身のO編集マンが「なんか景色がいかにも関東の郊外って感じですね。実家の方と似てるなあ」なんて呟く。
同じく、俺も生まれ育った埼玉の田舎町の風景を思い出す。
巨大スーパー、ラーメン屋、中古車屋、やたらと駐車場の広いコンビニ、青く澄み切った空。この街で村田さんは野球をやっていたのだ。
球場が近付くと、駐車場警備員が「満車」の看板を掲げる姿。バス停で少し話した巨人時代の村田タオルを持っていた女の子は、どうしてもラストゲームが見たくて初めて1人で栃木まで来たという。
わざわざ京都から、この試合のために。
球場周辺には元同僚の巨人選手からのフラワーボードや内川聖一や館山昌平からの花も飾られている。
それらを写真に撮りまくっていると、大学生風の2人組男子から「死亡遊戯さんですか?」と話しかけられた。なんと、巨人25番ユニを着た彼はこの日のために京都からやって来たらしい。恐らく、日本中からそんな村田ファンが集結しているのだろう。みんなムラタブラザーズ……なんつって握手を交わしてからグッズ売り場に並ぶ。
お目当ての球場限定発売の村田修一選手ボブルヘッド人形、背番号25にちなんで特別価格2500円も無事購入。
さらにマグカップや日付入りの記念Tシャツもカゴに入れ大人買い。
これが来季のチーム資金の足しになるなら喜んでカネを落とすよ。
よく見たら、O編集マンも少年のような笑みを浮かべながらTシャツを色違いで2枚買っている。ここで、いったいそれをどこで着るんだ……なんて冷静な突っ込みは野暮だろう。
そんなことは分かっている。
引退試合が結婚式なら、球場で買う野球グッズは結婚式の引き出物みたいなものだ。当事者以外にはその良さは伝わりにくい。でも、当日に式場で貰ったグッズは最高の記念品になる。もはやデザイン的にどうこうじゃないし、値段でもない。そこにあるのは過剰なほどの思い入れだ。だから、このボブルヘッド人形は部屋に一生飾っておこうと思う。