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W杯で燃えたイングランドに秋風。
スペイン、スイス戦の厳しい現実。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byUniphoto press

posted2018/09/16 11:00

W杯で燃えたイングランドに秋風。スペイン、スイス戦の厳しい現実。<Number Web> photograph by Uniphoto press

W杯得点王のケインだったが、ネーションズリーグ初戦のスペイン相手に苦戦した。

プレミアで出場機会のない若手。

“ヤング・ライオンズ”は先のW杯で結果を残したが、国産の若手が出場機会に恵まれないプレミアリーグの事情は、大幅に変わってはいないのだ。なによりも結果が重視されるので、監督が若手に“賭けづらい”現状がある。

 今回の代表戦2試合でピッチに立った計21名の選手にしても、プレミア4試合の出場時間は平均で60分間に満たない。

 若手の登用に積極的な監督の1人であるユルゲン・クロップのリバプール勢を見ても、右SBのトレント・アレクサンダー・アーノルドとCBのジョー・ゴメスが、1試合ずつ先発出場したに過ぎない。昨夏、出場機会を求めてチェルシーから加入したドミニク・ソランケは、トップチームでもA代表でもいまだ戦力視されていない。

 育てた若手を使わないことで悪名高いチェルシー勢では、今季開幕から計33分間しかプレミアのピッチに立っていないルーベン・ロフタス・チークが、スイス戦でスタメンに名を連ねた。だが、実戦不足の影響は隠せず、インパクトのない60分間に終わった。

 テクニック、攻撃センス、フィジカルを備えるロフタス・チークは、新たなタレントの出現が待たれているセンターハーフの有望株だが、ブレイクには至っていない。サウスゲートは自らが「使って育てる」心意気を持ってはいるが、若手がクラブより先に代表でシーズン初先発を経験するという事態は、正常ではない。

アブラハム、マウントという候補。

 次節10月12日のネーションズリーグ、クロアチア戦でも、イングランドの前線ではラッシュフォードがケインとコンビを組むだろう。ラッシュフォードが1カ月弱の間に、ロメル・ルカクを抑えてマンUで出場機会を得るとは思えない。

 それでもサウスゲートにとって2トップの数少ない選択肢で、9月の2試合で最もアピールに成功した選手でもある。万が一怪我などの不運に襲われた場合には、チェルシーからアストンビラにレンタルで放出された、タミー・アブラハムが招集されるかもしれない。

 10月に21歳となるアブラハムは、9月11日のU-21欧州選手権予選ラトビア戦(2-1)で同点ゴールを決めた。アシストをマークし、決勝ゴールも決めた19歳のメイソン・マウントは、チェルシーで停滞するロフタス・チークよりも現状では希望を持てる。

 同じくチェルシーからのレンタル組でダービーに所属するマウントは、本人が憧れたフランク・ランパードの指揮の下、レギュラーとして急成長を遂げつつある。

【次ページ】 クラブ以上に育成を意識する。

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